【K-BOOK振興会だより】Kファンタジーから、グラフィックノベルまで気になる作品に、金薫、キム・ヨンス、ハン・ガンのライブトークも見逃せない

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K-BOOK振興会便り  2023年9月号        http://k-book.org/
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◆◇今月のTOPIK◇◆

●イベント情報●
9月12日(火):【紀伊國屋書店新宿本店/会場】
『三人の女 二〇世紀の春』出版記念ブックトーク 語られてこなかった朝鮮・日本近代史〜20世紀の春とは何だったのか〜
登壇者:チョ・ ソニ、佐藤優
https://peatix.com/event/3663675

9月18日(月・祝):【UNITÉ/会場+オンライン】
韓国文学と日本語文学のあいだで「さえずり」に耳をすませる
登壇者:斎藤真理子、温又柔
https://www.unite-books.com/event

9月26日(火):【青山ブックセンター/会場】
今秋の新作情報丸わかり!
“わが社の推すK-BOOK、広がるK-BOOK、こえるK-BOOK”新作ショーケース
登壇者:斉藤典貴×金承福×佐藤香×井手聡司
https://aoyamabc.jp/products/cuon-0926

◆◇日本語で読みたい韓国の本◇◆

YA小説 『五百年目の十五歳(오백 년째 열다섯)』『五百年目の十五歳2 狐玉の重み(오백 년째 열다섯2 구술의 무게)』
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●古朝鮮の建国神話をもとにしたKファンタジー

古朝鮮の建国神話と昔話に由来する野狐(ヤホ)族と虎(ホラン)族。人間界にまぎれ生きてきた彼らの物語。
主人公は虎族と人間の間に生まれた少女。
五百年という長い年月を生きてきた少女が、友人や家族と過ごす時間、恋や社会生活という初めての経験などを通して、
人生で最も大切なことは何なのかを見出していく成長物語には、ヒューマンドラマの要素もある。
永遠を生きるということは祝福か呪いか、時間に追われ今を忙しく生きる大人にも響く作品。
韓国では10万部を達成。記念として、2023年7月28日に教保文庫オリジナルリカバー版が出版された。

五百年目の十五歳(오백 년째 열다섯)/五百年目の十五歳2 狐玉の重み(오백 년째 열다섯2 구술의 무게)

小説 『そっと呼ぶ名前(가만히 부르는 이름)』
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●村上春樹を愛する作家イム・キョンソンによる大人の愛の物語

36歳のスジンは8歳年上のヒョクボムと付き合っているが、口数が少なく、本音を見せない彼に不満を抱きつつ、大人な関係を続けている。
そんな二人の関係に、ガーデンデザイナーのハンソルや、ヒョクボムの前妻が入り込み、大人な関係が崩れ始める。
無機質なヒョクボムとの時間と、ハンソルとの美しい庭園のような眩しい時間が対照的に描かれる。
村上春樹を愛する著者が、コロナ禍だからこそ透明な愛の物語を書きたいと思い、つくりあげた大人の愛の物語。

そっと呼ぶ名前(가만히 부르는 이름)

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コミック 『渡って来た人々(건너온 사람들)』
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●朝鮮戦争を描いたグラフィックノベル

「戦争の海を渡って来た子らの孫たちに聞かせる物語」というサブタイトルのとおり、
朝鮮戦争を直接知らない若い世代に向けられたグラフィックノベル。朝鮮戦争での混乱が激しくなる中、
安全な地を求めて船で北から南に向かうキョンジュ一家の非難の過程と、厳しい状況でも明るく生きる家族の様子を描く。
キョンジュ一家の物語と並行して、作者自身が母や母方のおばから聞いた興南からの避難についての証言や、
朝鮮戦争についての解説、思いがナレーションとなっている。

渡って来た人々(건너온 사람들)

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◆◇日本語で読める韓国の本◇◆

『あんなにあった酸葉(すいば)をだれがみんな食べたのか/あの山は本当にそこにあったのか』(朴婉緒/著、真野保久・朴暻恩・李正福訳、影書房)
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没後10年が過ぎた現在も、韓国で国民的作家として愛され続けている朴婉緒の自伝的長編2作品。
日本の植民地期の1931年に開城近郊の両班家に生まれ、朝鮮の伝統的な暮らしが残る農村で過ごした少女時代から、
日本からの解放、解放後の混乱期、家族も故郷も失った朝鮮戦争まで、家族の大黒柱となって懸命に生きる主人公の姿が切々と描かれている。
韓国文学の源流ともいえる、終わらない戦争と女性の生き方を読み解くことができる作品
訳者を代表して真野保久さんによる推薦コメントをご紹介しました。

『あんなにあった酸葉(すいば)をだれがみんな食べたのか/あの山は本当にそこにあったのか』(朴婉緒/著、真野保久・朴暻恩・李正福訳、影書房)

『七月七日』(ケン・リュウ、藤井太洋 他/著、小西直子、古沢嘉通/訳、東京創元社)
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東アジア全域にわたり伝えられている七夕伝説をはじめとし、中国の春節に絡んだ年獣伝説、不老不死の薬を求める徐福伝説、
済州島に伝わる巨人伝説など、さまざまな伝説や神話からインスピレーションを得て書かれた十の幻想譚。日中韓三ヵ国の著者によるアンソロジーが誕生。
訳者のお一人、小西直子さんによるメッセージをご紹介しました。

『七月七日』(ケン・リュウ、藤井太洋 他/著、小西直子、古沢嘉通/訳、東京創元社)

『​威風堂々 キツネの尻尾』(ソン・ウォンピョン/著、渡辺麻土香/ 訳、永岡書店)
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2020年『アーモンド』、2022年『三十の反撃』で本屋大賞翻訳小説部門2冠の快挙をなしたソン・ウォンピョンが手がける初の児童書。
九尾のキツネの血を引く少女が、1本ずつはえてくる尻尾の化身に向き合いながら成長するあやかしファンタジー×青春小説。
九本の尻尾を持つキツネのような生き物=九尾のキツネを、韓国では「クミホ(九尾狐)」と呼び、人間の世界にまぎれて暮らしていると言われています。
その「クミホ」の血を引く少女が果たしてどのように成長していくのか、親子一緒に楽しむことができる作品です。
訳者の渡辺麻土香さんによるメッセージをご紹介しました。

『​威風堂々 キツネの尻尾』(ソン・ウォンピョン/著、渡辺麻土香/ 訳、永岡書店)

◆◇ 韓国の出版・本屋事情 ◇◆

教保文庫、7月の月間ベストと注目の新刊(韓国小説)
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キム・スムやチェ・ウニョン、ファン・モガなど日本でもお馴染みの作家の新刊、近刊が目白押しです。

教保文庫、7月の月間ベストと注目の新刊(韓国小説)

教保文庫、7月のエッセイ月間ベストと注目の新刊
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『すべての瞬間が君だった』の著者ハテワンによる新作が9位に。イ・スラの新作も注目を集めています。

教保文庫、7月の月間ベストと注目の新刊(エッセイ)

◆◇8月のK-BOOKらじお◇◆

♯60 理想の翻訳は読んだ人の頭に映像として残ること 吉川凪さん - わたし、これ訳しました
http://k-book.org/news/radio_60/

♯61 インフルエンサーによるダイエット本にはやっぱり説得力がある―麗子さんの韓国便り
http://k-book.org/news/radio_61/

♯62 “知らないということ”を考えるきっかけに『サイボーグになる』がおススメ 葉々社 小谷さん - わたし、これ推してます
http://k-book.org/news/radio_62/

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__おしまいに____________________

韓国の大手出版社、文学トンネのYouTubeチャンネル@munhaktvをたまに視聴します。
9月9日(土)16時から金薫(キム・フン)、そして10月28日(土)16時からキム・ヨンス×ハン・ガンのトークイベントがライブ配信されます。
今から楽しみです。

(運営委員:五十嵐真希)

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発行:一般社団法人 K-BOOK振興会

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