教保文庫、7月の月間ベストと注目の新刊(エッセイ)

教保文庫の7月のエッセイ月間ベスト10と注目の新刊情報をご紹介します。今年3月に他界した坂本龍一の自伝エッセイが2位にランクインしました。『すべての瞬間が君だった』の著者ハ・テワンによる新作が9位に。イ・スラの新作も注目を集めています。

1位:『나는 죽을 때까지 지적이고 싶다(私は死ぬまで知的でありたい)』ヤン・ウォングン(ジョンミンメディア/2023.06.15)
2位:『나는 앞으로 몇 번의 보름달을 볼 수 있을까(ぼくはあと何回、満月を見るだろう)』坂本龍一/ファン・グギョン訳(ウィズダムハウス/2023.06.28)
本書は、闘病生活の様子を交えながら2009年以降の活動を振り返る自伝で、日本・韓国・台湾・中国でほぼ同時に刊行されました。盟友の鈴木正文を聞き手に、音楽制作はもちろん、舞台芸術への参加や政治的発言に至るまで、数々の活動の根幹にあった著者の哲学やBTS のSUGAをはじめとする著名人との交流など、多彩なエピソードが収められています。
3位:『당신은 결국 무엇이든 해내는 사람(君は結局何でもやり遂げる人)』(10万部記念特別リカバーエディション)キム・サンヒョン(Feelm/2022.04.20)
4位:『감정은 사라져도 결과는 남는다(感情は消えても結果は残る)』イ・へイン(Feelm/2023.06.15)
5位:『기분이 태도가 되지 말자(気分が態度にならないように)』キム・スヒョン(ハイスト/2022.11.25)
6位:『그럴 수 있어(そういうこともあるよ)』ヤン・ヒウン(ウンジン知識ハウス/2023.07.04)
1971年に「朝露」で歌手デビューした著者ヤン・ヒウンはラジオDJや作家としても活躍し、MBCラジオの「女性時代」は24年続く長寿番組です。本書は、経済的な困難や病気、誰かを憎む気持ちなど、著者が経験してきた様々な出来事や感情が綴られています。今つらい気持ちを抱えている読者にとって、感情を共有し励ましとなってくれる作品です。日本でも絶大な人気を誇る歌手ソン・シギョンも推薦の言葉を寄せています。
7位:『순도 100퍼센트의 휴식(純度100パーセントの休息)』パク・サンヨン(インフルエンシャル/2023.06.30)
8位:『마음의 자유(心の自由)』ジョンユン(ブックロマンス/2023.06.12)
9位:『나는 너랑 노는 게 제일 좋아(僕は君と遊ぶのが一番好き)』ハ・テワン(ブックロマンス/2023.07.17)
『すべての瞬間が君だった』(呉永雅訳、マガジンハウス)の著者ハ・テワンによる2年ぶりの新作エッセイです。本書を貫くテーマは愛。1章では自尊心を高めて自分自身を愛することができる文章が並び、2章では恋人や家族との関係をより深める愛の手紙、3章ではペットをはじめとした多様な存在への愛を読むことができます。写真家ユ・ジミンが撮影した、映画のワンシーンを切り取ったような写真も魅力です。
10位:『너의 하루가 시원하길 바라(キミの一日が爽やかだったらいいな)』(『너의 하루가 따숩길 바라(君の一日がポカポカしてたらいいな)』サマーエディション)コ・ウンジ(ブックライフ/2023.06.23)
昨年12月の月間ベストでもご紹介した『너의 하루가 따숩길 바라(君の一日がポカポカしてたらいいな)』の表紙が夏バージョンになりました。愛らしいキャラクターがスイカやとうもろこしを食べながら扇風機の風に当たっている絵を見るだけで、爽やかな気分になれそうです。

注目の新刊
『끝내주는 인생(サイコーな人生)』イ・スラ著、写真:イ・ウォン(ディプロット/2023.07.03)
『日刊イ・スラ 私たちのあいだの話』(原田里美・宮里綾羽訳/朝日出版社)の著者による散文集です。喜びや悲しみが絡み合う人生について書かれた23編が収められています。そのうちの1編はイ・ウォンによるテキストのない写真散文で、韓国や日本で見つけた「サイコーな人生」の瞬間が8枚の写真により表現されています。

『이렇게 살면 큰일 나는 줄 알았지(こんなふうに生きたら、大変なことになると思ってた)』リトルタネ(ウンジン知識ハウス/2023.07.05)
登録者数22万人のYouTubeチャンネル「リトルタネの賢い生活」を運営している著者は、2021年に就職、恋愛、結婚のすべてを放棄して田舎暮らしを始めました。本書は、「倒れたら休めばいい」という著者の哲学をベースに、既存のレールに当てはまらない、素朴でありながらも確かな幸せを掴む方法を教えてくれます。(文/金知子)