【K-BOOK振興会だより】チャン・リュジン作家来日イベントや韓国文学展と関西が熱い/「K-BOOKらじお」50回目の配信となりました

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K-BOOK振興会便り  2023年6月号        http://k-book.org/
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◆◇今月のTOPIK◇◆

●イベント情報●

6月17日(土):【今野書店/会場+オンライン】
『隣の国のことばですもの』・『韓国現代詩選』合同トークイベント 金智英×斎藤真理子 茨木のり子が歩んだハングルへの旅路
https://peatix.com/event/3595324

6月24日(土):【奈良県立図書館/会場参加】
ブックフェア「Groovin’ K! (K-BOOK)」 (図書企画展「韓国文学への旅~現代韓国文学とその周辺」関連イベント)
ゲスト:ゲスト:アサノ タカオ(編集者・サウダージ・ブックス)
https://www.library.pref.nara.jp/event/4109

6月25日(日):【大阪韓国文化院 ヌリホール/会場参加】
韓日文学対談
「チャン・リュジン X 中江有里」
https://k-culture.jp/info_news_view.php?number=2449

6月27日(日):【CHEKCCORI/オンライン】
「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」を語る会―第6回課題作『僕のルーマニア語の授業』編
ゲスト:最優秀賞/須見春奈さん、審査員メンバー/オ・ヨンアさん
https://chekccori230627.peatix.com/

◆◇日本語で読みたい韓国の本◇◆

絵本 『完璧なタイミング(완벽한 타이밍)』
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●子どもたちが大好きなおならの絵本

舞台は遠足に向かうバスの中。朝にさつまいもを食べた主人公は、おなかの調子が悪くなる。
数日前、クラスメイトが大きな音のおならをしてみんなの笑いものになったので、我慢する。
おなかが風船みたいにぱんぱんに膨らんでしまったらどうしよう、おならの威力で宇宙まで飛んで行ってしまわないかな、と想像力を膨らませる。
ゾウを驚かせて大きな声が出た瞬間におならをしたらどうだろう、などとクラスメイトにばれずにおならをする方法を考える主人公。
いよいよ我慢ができなくなってきたころ、牧場が目の前に現れ、飛行機が飛んでいる姿が見える。牛糞の匂いも漂ってきた。
バスの真上を飛行機が飛び、バスが石を踏んで揺れる瞬間におならを出そうと試みる。
まさにタイトルの通り、こっそりおならができる「完璧なタイミング」を狙う。
完璧なタイミングがやってきたその時、バスに乗っているみんなが一斉におならをする。バスからは笑い声が漏れ、完璧な遠足になりそうだと思う。
親子の会話がはずみそうな絵本。

完璧なタイミング(완벽한 타이밍)

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絵本 『モ・ストーリー(모 이야기)』
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●人気イラストレーター、チェ・ヨンジュによるベストセラー絵本

子猫の「モ」が、窓越しにみつけた「微笑む光」の正体を手にするため森へと探検に出かける。一人旅に出た「モ」が森の中の動物たちとの出会いを通じて成長していく。
備えあれば憂いなしというが、過剰な心配やそこから生まれる恐怖心のせいで前に進めなくなることもある。そして、そういう類の恐怖は、はっきりしたものではなく、
他人の評判やうわさから生じたものであることも多い。
この本は、新しい友達に出会うときや新しい世界へと足を踏み出すとき、先回りして心配したり怖がったりするのではなく、
開かれた心で向き合ってほしいという応援のメッセージを伝えている。

モ・ストーリー(모 이야기)

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小説 『明日の恋人たち(내일의 연인들)』
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●繊細な感性を巧みに描くチョン・ヨンスの短編集

2018年、19年「若い作家賞」を受賞したチョン・ヨンスの受賞作2編を含む8編が収録されている。
2年連続の受賞は、チョン・ヨンスが次世代を担う作家として期待されている証拠だ。
本書にはさまざまな恋人たちが登場するが、必ずしも恋愛の成就がゴールではない。現代韓国の恋人たちのリアルな生活を背景に、
作者特有の繊細な心理描写で表現された、
過去の恋愛、現在の恋愛、そして未来の恋愛は、移ろいやすい人間の心、時の流れの残酷さ、不思議な優しさを感じさせる。

明日の恋人たち(내일의 연인들)

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小説 『図書館ランウェイ(도서관 런웨이)』
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●アジア人作家で初めて英国推理文学賞「ダガー賞」を受賞したユン・ゴウンの長編小説

安定した結婚生活を送るための保険などあるのだろうか。結婚と保険を結び付けるという独創的な発想で物語は進む。
タイトルの「図書館ランウェイ」は、旅行と図書館が好きな主人公アンナがSNSで使っているアカウント名。
アンナの結婚、アンナの失踪、夫の死といったミステリーを、アンナが図書館で見つけたAS安心結婚保険の約款集と絡めて語っていく。
巻末の作品解説では、「ダガー賞」受賞作の『夜の旅行者たち』(早川書房よりカン・バンファ訳で出版予定)
を含む著者の他の作品とも比較しながら詳しい解説がなされている。

図書館ランウェイ(도서관 런웨이)

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◆◇日本語で読める韓国の本◇◆

『友』(ペク・ナムリョン/著、和田とも美/訳、小学館)
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韓国だけではなく欧米圏でも翻訳出版され、アメリカでは2020年の「ライブラリー・ジャーナル」でBest Books翻訳文学部門の10冊に選ばれた北朝鮮の文学作品。
1980年代における北朝鮮の地方都市を舞台に、裁判所で離婚を審議中の夫婦と、その審議を担当する裁判官夫婦を主な登場人物として市井の人々の喜怒哀楽を語ります。
地方都市で暮らす人々の生活ぶりも詳しく、また、裁判の経過から垣間見える人々の価値観や心情も丁寧に描かれています。

『友』(ペク・ナムリョン/著、和田とも美/訳、小学館)

『朝イチの「ひとり時間」が人生を変える』(キム・ユジン/著、小笠原藤子/訳、文響社)
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米国ニューヨーク州、ジョージア州2州の弁護士資格を持つ著者が、早朝の時間を有効に活かすことで数々の目標を達成してきた、その朝時間活用法を丁寧に伝授しています。
訳者の小笠原藤子さんによるメッセージをご紹介しました。

『朝イチの「ひとり時間」が人生を変える』(キム・ユジン/著、小笠原藤子/訳、文響社)

『僕には名前があった』(オ・ウン/著、吉川凪/訳、クオン)
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クオンの「セレクション韓・詩」シリーズ2冊目となる詩集。「人」から始まり「人」で終わる連作詩集であり、オ・ウンの巧みな言葉遊びを堪能できる詩集でもあります。
駄洒落だけで終わらず、オ・ウンによる鋭い人の描写から、人を、自分を理解するのは難しいと気付かされます。
訳者の吉川凪さんによるメッセージをご紹介しました。

『僕には名前があった』(オ・ウン/著、吉川凪/訳、クオン)

◆◇ 韓国の出版・本屋事情 ◇◆

教保文庫、4月の月間ベストと注目の新刊(韓国小説)
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チョン・ミョングァンの『鯨』が、国際ブッカー賞の最終候補に選ばれたことで再び注目が集まっています。
注目の新刊は、『千個の青』(カン・バファ訳/早川書房)の著者による3篇の連作小説『이끼숲(苔の森)』や、
『レモン』(橋本智保訳/河出書房新社)、『まだまだという言葉』(斎藤真理子訳/河出書房新社)、『きょうの肴なに食べよう?』(丁海玉訳/KADOKAWA)などの邦訳本で
日本でも人気のクォン・ヨソンによる短編集『각각의 계절(それぞれの季節)』など。

教保文庫、4月の月間ベストと注目の新刊(韓国小説)

教保文庫 4月の月間ベストと注目の新刊(エッセイ)
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日本でも「モッパン」で人気のあるヨスオンニ初のエッセイ集が出版されました。3か月連続でキム・ダルスの書籍2冊がトップ10にランクインし、根強い人気を誇っています。
注目の新刊は、インスタグラムやYouTubeなどで愛くるしい姿を見せる人気者のマルチーズ、チェロの飼い主によるフォトエッセイ集『재롱 잔치(チェロン祭り)』。

教保文庫 4月の月間ベストと注目の新刊(エッセイ)

◆◇5月のK-BOOKらじお◇◆

♯47 蔵書が気になる前大統領の書店 / 伝統家屋風の素敵ブックカフェ- 麗子さんの韓国便り
http://k-book.org/news/radio_47/

♯48 小説の登場人物を通して読書の方法を知る / 5月に読んでおきたい本 - わたし、これ読みました
http://k-book.org/news/radio_48/

♯49 “ひとりじゃない”と感じられ、豊かな気持ちになれる絵本を翻訳したすんみさん - わたし、これ訳しました
http://k-book.org/news/radio_49/

♯♯50 現代社会に訴える韓国SFを届けたい! 河出書房新社 竹花進さん ― わたし、これ担当しました
http://k-book.org/news/radio_50/

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韓国の本=K-BOOKを愛する皆さんに、日本で刊行された翻訳本の新刊情報やイベント情報、韓国現地からの情報、
そして読者の皆さんの声をご紹介するインターネットラジオ「K-BOOKらじお」は、Apple Podcast、Spotify、YouTubeで毎週金曜日 朝9時配信中!
Google Podcastでの配信もスタートしました。
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__おしまいに____________________

いよいよ来週6月14日からソウル国際図書展が始まります。
15日はキム・エラン×チェ・ウニョン
16日はキム・チョヨプ×チョン・ソンラン
18日はキム・エラン×キム・インスク×オ・ジョンヒ×チョン・ソンラン×チェ・ウニョン×ピョン・ヘヨン
などなど、豪華な講演やセミナーが盛りだくさんです。

https://sibf.or.kr/

(運営委員:五十嵐真希)

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発行:一般社団法人 K-BOOK振興会

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