【K-BOOK振興会だより】人文、児童書に童詩と幅広くご紹介中/文在寅前大統領の本屋、平山(ピョンサン)書房へ

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KBOOK振興便り  2024年2月号        http://kbook.org/
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◆◇今月のTOPIK◇◆

●イベント情報●

2月17日(土)13:45~:【百道(ももち)西公園及びももちパレス/場】
尹東柱詩人追悼79周年記念式&講演
講演講師:辻野裕紀さん(九州大学大学院言語文化研究院准教授
http://www.labornetjp.org/EventItem/1705135504139matuzawa

2月18日(日)14時~:【立教学院諸聖徒礼拝堂/場】
「詩人尹東柱とともに・2024」礼拝及び講演
講演講師:上野 潤(京都芸術大学 芸術学部客員教授)
https://www.rikkyo.ac.jp/events/2024/02/mknpps000002bczx.html

◆◇日本語で読みたい韓国の本◇◆

人文 『母娘の世界(모녀의 세계)~愛するほどに傷つけ、密接なほどに恨めしい~』
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●深く切りこむ「母娘の世界」

1章では、一心同体とも言える絶対的な関係が生み出す問題点を浮き彫りにし、
2章で母たちが生きてきた時代背景や社が決めつけた「良き母」のイメージが及ぼした弊害を挙げ、
負の連鎖を断ち切るための3章へと導く。二面性・長女・更年期などをキーワードに、
実例を交えてありがちなパターンも数多く紹介する。「母から」「娘から」の呪縛を解き、
適度な距離とバランスを保って自分の人生を生き抜くために。すべての母、すべての娘へ、
人間関係のプロであるキム・ジユンが贈る、女性としての生き方の教科書
https://kbook.org/yomitai/240108/

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児童書 『リボとアン-れも来ない図書館の2人のロボット
(리보와 앤 -아무도 오지 않는 도서관의 두 로봇)』
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●AIと人間の未来の関係性を示唆する文学トンネ児童文学賞大賞受賞作品。

ウィルス蔓延で閉鎖された図書館で、案内ロボットのリボとお話ロボットのアンが来館者を待ち続ける。
やがて、本の大好きな少年ドヒョンの記憶がよみがえる。リボの感情メモリーに「懐かしい」という言葉が浮かぶ。
数日後、少年が訪ねてきてくれた。少年との一瞬の再と別れがリボの「思い」を募らせる。少年が私を待っている。
私が少年を待っているのと同じように。少年とのメール交換も大事な日課になった。
そんな日が続くうちに、セーフティ機能がリボの行動を異常とみなす。このままでは初期化され、
少年との思い出も消去されてしまう。必ずまたいたい。そのとき、懐かしい足音が聞こえた。
第23回文学トンネ児童文学賞大賞受賞作品。
https://kbook.org/yomitai/240115/

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エッセイ 『ルカーチを読む夜―魔法の大釜で煮つめたこころとからの記憶
(루카치를 읽는 밤―마법의 가마솥에서 길어 올린 몸과 마음의 기억들)』
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●小説家チョ・ヒョンの多趣味ぶりを発揮するエッセイ集

39歳になってようやく小説家デビューした著者によるエッセイ集。ルカーチ、ニーチェ、スティーブン・キングに始まり、
夏目漱石、三島由紀夫、美内すずえの作品、音楽ではハチャトリアン、ボブ・ディラン、キング・クリムゾン、
クラフトワーク(ドイツの電子音楽グループ)、チック・コリア、
映画では『ジョゼと虎と魚たち』などを素材として著者の持論が展開される。これまで触れてきたアートに対する思いと同時に、
人々に注ぐ暖かいまなざしも感じられる。人生を成長の旅として描いた『銀河鉄道999』とともに著者の思いは宇宙空間にまで拡がる。
そして「永劫回帰」(同じ事象は永遠に繰り返して起きるというニーチェの思想)を通じて母親との再を願う著者の思いは時間をも超えてゆく。
https://kbook.org/yomitai/240122/

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児童文学 詩集『ミン・シウ童詩集『約束』(민시우 동시집 ‘약속’)』
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●亡き母への思いを綴った、9歳の少年による童詩集

5歳で突然母親を亡くしたミン・シウ少年は母親との別れを実感できなかった。妻の闘病とシウ少年の成長を考えて、
大自然のある済州島で暮らすことを決めた映画監督のミン・ビョンフン氏。妻と息子との日々を映像に撮りためていた。
その後母親を亡くした息子との暮らしも映像に収めドキュメンタリー「約束」という映画を制作、韓国で公開されている。
「いつかきっと天国でおう」という母親との約束は永遠にかなわないように感じられ、母親のいない海がむしろ母親を感じさせる。
波のように押し寄せて語りかける母、星空の母さん星、悲しく感じられる雨水さえも母親の姿としてとらえられ表現されている。
https://kbook.org/yomitai/240129/
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◆◇日本語で読める韓国の本◇◆

『誤解されても放っておく』(キム・ダスル/著、カン・バンファ/訳、三笠書房)
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人気作詞家でコピーライターでもある著者キム・ダスルさんのストレートな言葉は頭に心にどんどん響いてきます。
気持ちを上手に切り替え、誰かの目を気にし過ぎることなく、自分らしく生きていくことを優しいイラストとともに届けてくれるエッセイです。
訳者のカン・バンファさんより推薦のメッセージをいたきました
https://kbook.org/yomeru/240111/

『私の「結婚」について勝手に語らないでくさい。』(クァク・ミンジ/著、清水知佐子/訳、亜紀書房)
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累積聴取回数2000万回超!
話題のポッドキャスト「ビホンセ」制作兼進行役による〝結婚しない〟という選択。

キャッチ―なタイトルが気になった方も多いでしょう。いろいろな選択肢が広がる中、痛快に潔く自身の言葉で、
自分を語っていく著者の一言一言に付箋の山となりました。
そんな中でも特に、

“みんなが、自分は何者であるかをくり返し語ってくれたらと思う。私が私のままで生きていって構わないのと確信するには、
私が正常と感じられる場所に留まっているよりも、世の中には数億個の存在が数億個のやり方で存在していることを知ることのほうが効果的から。”

には「結婚」に限らず、誰もが自分自身を生きていくことを互いに認め合う存在でいようと呼びかける著者の思いに触れる一節のように感じられました。
訳者の清水知佐子さんからも推薦のメッセージを頂戴しました。
https://kbook.org/yomeru/240118/

◆◇ 韓国の出版・本屋事情 ◇◆

教保文庫、12月の月間ベストと注目の新刊(小説)
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フランスの四大文学賞の一つ「メディシス賞」を受賞した『작별하지 않는다(別れは告げない)』が、
前月に続き1位でした。その著者ハン・ガンの父親であるハン・スンウォンの新作長編小説も刊行されました。
https://kbook.org/publishing/2024011102/

教保文庫、12月の月間ベストと注目の新刊(エッセイ)
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『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』などのドラマで日本でも知られるようになった俳優ムン・サンフンのエッセイ集が1位にランクインしました。
注目の新刊では、『愛のあとにくるもの』(きむ ふな訳、幻冬舎)などの邦訳書で知られるコン・ジヨンのエッセイ集を紹介しました。
https://kbook.org/publishing/20240109/

◆◇1月のKBOOKらじお◇◆

♯80 推し本の『そっと 静かに』は心の常備薬 本屋 itoito 横さん - わたし、これ推してます
https://kbook.org/news/radio_80/

♯81 不可抗力の中で声を上げられない人々を救いあげるのがチョ・ヘジン作品の魅力 オ・ヨンアさん - わたし、これ訳しました
https://kbook.org/news/radio_81/

♯82 シルバー川柳独特の切なさは韓国でも共感を呼ぶ?! - 麗子さんの韓国便り
https://kbook.org/news/radio_82/

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__おしまいに____________________

文在寅前大統領の本屋、平山書房に行ってきました。お店に入ってすぐの本棚が「詩」。さすが韓国なと驚きました。
文在寅さんがいらっしゃる土曜日ったので、お客さんがとても多く来ていました。
列をなす客のひとりひとりとしっかり握手する文在寅さんの姿と、晴れやかな顔をしているお客さんたちの様子が印象的でした。
店内に飾られていた「本の力を信じています。
本はゆっくりでも世の中を変えていくと信じています」という文在寅さんの言葉も心に深く残っています。
(運営委員:五十嵐真希)

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