最小限の韓国史(최소한의 한국사)

原題
최소한의 한국사
著者
チェ・テソン
出版日
2023年6月21日
発行元
フロントページ
ISBN
9791198243430
ページ数
351
定価
18,000ウォン
分野
人文

●本書の概略

韓国で圧倒的な人気を誇るスター講師であるチェ・テソンが書いた、試験のためではない、教養としての韓国史。朝鮮半島最初の国家が誕生したとされる紀元前2333年から、2000年の南北共同宣言までの約5000年の韓国の歴史を、とにかくやさしく、分かりやすく解説している。本書は、細かい史実や用語よりも脈略を掴むことに重点を置き、近代以前は王を中心に、近現代は変化をもたらした事件を中心に時系列で紹介されていくため、古代から現代までの韓国の歴史が自然と頭の中で整理されながら一つの大きな流れとなって頭に残るのが特徴だ。また、会話体の文章で読者に問いかけながら進むので、講義動画か歴史のドキュメンタリーを見ているかのようにスラスラ読め、時おり挟まれる裏話や人物にまつわるエピソードは臨場感たっぷりでドラマのように面白い。「歴史は複雑で難しい概念の羅列ではなく、先に生きた人々の出した多くの選択の結果。下した選択により結果が変わるその人生劇場を見ることが歴史を学ぶことだ」。この本は、重要事項や人物を記憶するためではなく、「なぜ」「どうして」先人たちはその選択をしたのかを著者と一緒に考えながら学んでいく、まさに「教養としての韓国史」の教科書だ。

●目次

はじめに
第一章 古朝鮮と三国時代
第二章 南北国時代
第三章 高麗時代
第四章 朝鮮時代
第五章 近代
第六章 現代
図版出展

●日本でのアピールポイント

著者の講義動画がそのまま本になったような本書は、文章がとても読みやすく、歴史書特有の難しさを感じない。また、韓国を真上から俯瞰した状態で古代からの歴史が紹介されるため、視点がぶれず没入感があり、朝鮮半島を舞台に繰り広げられる歴史ドラマを見るかのように面白い。文章の間に描かれたフローチャートやイラストは理解の助けになり、写真資料は文章の間に挟まず時代ごとにまとめて掲載されているため読者はストーリーに集中できることもポイントだ。写真も全てカラーで見やすい。本書に似た雰囲気の書籍として『中学校で習う歴史が教えられるほどよくわかる』(切替一薫著/2023年/ベレ出版)を挙げておく。また、本書には漢字表記がほとんど無いため、日本語への翻訳の際には漢字の確認が必要となることも申し添えておく。
気軽に読めて韓国史全体の流れがよくわかる本書は、歴史コーナーには勿論のこと、韓国や韓国語に興味を持った人への韓国を知る手だてとして、是非学習参考書コーナーにも並んでほしい一冊だ

(作成:高上由賀)

チェ・テソン
成均館大学史学科を卒業後、会社員生活を経て約10年間高校で歴史を教える。2001年より公営の教育放送局であるEBSで歴史講座の講師として活動を開始。分かり易い講義が評判になり、累計受講者数600万人の韓国を代表する歴史講師となった。現在、ユーチューブで受験生向けの無料講義を行う他、企業への出張講義、テレビの歴史番組に出演するなど幅広く活躍中。試験対策のための参考書を多数執筆しているほか、子供向けの韓国史や漫画で読む韓国史などの監修も多く手がけている。