教保文庫の5月のエッセイ月間ベスト10と注目の近刊情報をご紹介します。エッセイストとしても知られる法頂和尚の講演録が2位にランクインしました。注目の近刊では、『火葬』(柳美佐訳、クオン、2023)や『ハルビン』(蓮池薫訳、新潮社、2024)で知られるキム・フンによる5年ぶりの新作エッセイを紹介しています。
1位:『나는 메트로폴리탄 미술관의 경비원입니다(私はメトロポリタン美術館の警備員です)』パトリック・ブリンリー/キム・ヒジョン、チョ・ヒョンジュ訳(ウンジン知識ハウス/2023.11.24)
2位:『진짜 나를 찾아라(本当の自分を探せ)』法頂(セムト/2024.04.30)
法頂和尚が設立した社団法人「清く香しく」が、今年で30周年を迎えます。これを記念して、1970年代後半から2000年代はじめまでに行われた講演の記録をまとめた本が出版されました。「物質の奴隷になるのではなく、分かち合い、自制し、満足し、手を取り合うことができる心を回復せねばならなりません」「人生は過去でも未来でもなく、まさに今この瞬間なのです」など、時代を超えた教えが詰まっています。
3位:『보편의 단어(普遍の単語)』イ・ギジュ(マルグルト/2024.01.11)
4位:『꽃길이 따로 있나, 내 삶이 꽃인 것을(花道は他にあるわけではない、自分の人生が花なのだ)』オ・ピョンソン(フォレストブックス/2024.03.22)
5位:『내가 천 개의 인생에서 배운 것들(僕が千通りの人生から学んだこと)』キム・ドユン(ブックロマンス/2024.04.17)
6位:『찌그러져도 동그라미입니다(ペチャンコになってもマルです)』キム・チャンワン(ウンジン知識ハウス/2024.03.28)
7位:『기분이 태도가 되지 말자(気分が態度にならないように)』キム・スヒョン(ハイスト/2022.11.25)
8位:『여행의 이유(旅行の理由)』キム・ヨンハ(福福書架/2024.04.17)
60万部以上を売り上げた初版に、コロナのパンデミックを経て「日常の中で旅行はどのような意味を持つのか」について書かれた1編が加わり、改訂増補版として出版されました。執筆のために向かった中国で入国を拒否された話から、人が旅に出たがる理由、旅行者としてのアイデンティなど、著者が旅行を通じて自分自身や人生を語ります。
9位:『인생은 순간이다(人生は瞬間だ)』キム・ソングン(ダサンブックス/2023.11.15)
10位:『치즈덕이라서 좋아!(チーズダックだから良い!)』ナボム(Feelm /2024.05.08)
メッセンジャーアプリで大人気のキャラクター「チーズダック」が初めて本になりました。「人と比べなくても幸せになれるんだよ」「幸せになるためには、自分の持っているものを愛する心を持つことだよ」本書のために書き下ろされた、完全未公開の温かい文と愛らしい絵が読者を癒し励まします。
注目の近刊
『허송세월(虚送歳月)』金薫(ナナム/2024.06.20)
第6回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」の課題作にもなった『火葬』(クオン、柳美佐訳、2023)や『ハルビン』(新潮社、蓮池薫訳、2024)で知られる金薫による5年ぶりの新作エッセイが出版間近です。生死の境を彷徨った経験、困難な時代を生きながらも若々しく輝いていた歴史の中の青春……。著者の「虚送歳月」をしたためた文章が40編あまり収められています。(文/金知子)