●本書の概略
お母さんが裁縫箱を出して「子供」を作り、服を着せました。
その子は自分では何もせず、すぐにお母さんを呼びます。顔を洗う時も、服を着替える時も、ごはんを食べる時も、遊ぶ時もお母さんの手を借ります。お母さんに頼りきりだったその子は気づくとボールになっていました。ゴロゴロと転がって、山道を越えるためにその子は腕を出し、やぶをかき分けるために手と足を出し、お腹を満たすために鼻と口を出し、鳥と友達になるために目と耳を出します。そしてカラフルなお花のにおいをかぐと、その子に心が芽生えました。自分で歩いて、食べて、動いているうちに、どんどん気分がよくなります。
帰ってきて気づきました。それでもやっぱりお母さんに抱きしめられるのが一番うれしい、と。
子供が「自分で」行動し成長していく大切さを描いた1冊です。
●日本でのアピールポイント
子供の自主性を尊重したいのにどうしても手伝ってしまう。子供にごはんを食べさせてあげているうちに自分でごはんを食べなくなってしまい、「子供がこのままでは何もせずボールのようになってしまうかもしれない」と不安になったという作家の実体験をもとに描かれた作品で、親子で楽しめる内容になっています。
文章自体は短めですが、絵の中にさまざまなメッセージが含まれているので、見る楽しさもありました。
(作成者:德田晴子)