体の言葉-愛でも嫌悪でもない、体の話(몸의 말들-사랑도 혐오도 아닌 몸)

原題
몸의 말들 사랑도 혐오도 아닌 몸 이야기
著者
カン・ヘヨン、コ・グォングム、ク・ヒョンギョン、ペク・セヒ、イ・ヒョンス、チド、ハン・ガラム、ファンド
出版日
2020年3月13日
発行元
アルテ
ISBN
9788950986889
ページ数
216ページ
定価
11,000ウォン
分野
エッセイ

●本書の概略

女性専用フィットネスジムを運営するトレーナーからナチュラルサイズモデル兼ユーチューバー、エッセイスト、コラムニスト、映画監督、振付師、アダルトライフスタイルショップのオーナー、タトゥーイストまで8人の女性が、体、すなわち自分自身について率直に語っている。
「脱コルセット」運動などのフェミニズムのムーブメントの一方、社会から非現実的な美の基準や家父長制の視点からの理想の女性像を強いられている韓国の女性が、ありのままの自分を肯定することは容易なことではない。
本書では、「ナチュラルサイズ」、「女性と運動」、「健康な性」など様々なキーワードで、自分を肯定できるようになるまでの過程、また、各著者のボディポジティブについての考えなどがストレートに述べられている。

●目次

体、自然に
愛と嫌悪、その間で (ペク・セヒ)
サイズ差別のない世界を夢見て (チド)
今の私の体 (イ・ヒョンス)
体、正直に
体というそれぞれの家 (カン・ヘヨン)
偏見のない体の絵画 (ファンド)
体、健康に
「体型」という概念のない空間でのトレーニング (ク・ヒョンギョン)
<アワボディ>、体の正直さについて (ハン・ガラム)
体、申し分なく
耐える体 (コ・グォングム)

●日本でのアピールポイント

『死にたいけどトッポッキは食べたい』の著者として知られるペク・セヒなど、8人の女性による「体」を切り口としたエッセイである。
自分自身を肯定しづらい社会に生きているのは、韓国だけではなく日本の女性も同様だろう。
この本は、自己肯定感を高めようという声高なメッセージではなく、各著者の体にまつわる経験や、その経験ゆえの気付き、そして自分自身を肯定的に受け入れるための模索が現在進行形で語られている。
皮膚炎によって過酷(と言っても過言ではないだろう)な道のりを歩んで来たペク・セヒの「自分の体を、愛でも嫌悪でもなく“0(ゼロ)”の状態で受けとめたい」という言葉に共感し、また、救われる思いをする読者は少なくないだろう。

(作成:今野)

カン・ヘヨン
ソウルの解放村でアダルトライフスタイルショップ「ピウダ(Piooda)」を運営し、自己肯定感や男女平等などの視点で厳選した商品を提供している。
コ・グォングム
舞踊家、振付師。抑圧の痕が残る体や再生過程にある体をパフォーマンスで解放する活動を続けている。
ク・ヒョンギョン
トレーナー。女性専用のスポーツジム「ティンバー(TIMBER)」を運営。コラムを通して運動の知識と考えを伝えている。
ペク・セヒ
エッセイスト。文芸創作学科卒業後、出版社で勤務した。著書『死にたいけどトッポッキは食べたい』(2019年度、光文社、山口ミル訳)、『死にたいけどトッポッキは食べたい2』(2020年度、光文社、山口ミル訳)、『ほかでもなく愛と自由』(共著)
イ・ヒョンス
コラムニスト、翻訳家、出版プロデューサー。映画雑誌「PREMIERE」、「FILM2.0」の編集長を務めた。
チド
韓国第1号のナチュラルサイズモデルでありファッションユーチューバー。ユーチューブで、ダイエット依存症、ナチュラルサイズ、ボディポジティブなどの話題を取り上げている。
ハン・ガラム
映画監督。社会学科卒業後、韓国映画アカデミーで演出を学んだ。映画『葬式難民』『アワ・ボディ/Our Body』(ともに日本劇場未公開。『アワ・ボディ/Our Body』は大阪アジアン映画祭2019で上映。)
ファンド
タトゥーイスト。フランス語フランス文学科卒業後、ソウルの弘大でタトゥーショップを運営。