ある日、僕が死にました(어느 날 내가 죽었습니다)

原題
어느 날 내가 죽었습니다
著者
イ・ギョンヘ
出版日
2004年4月28日
発行元
パラメアイドゥル
ISBN
9788990878052
ページ数
192ページ
定価
11,000ウォン
分野
YA

●本書の概要

見ず知らずの少年の訃報に接して数日の間涙が止まらなかったという著者が、若くして命を落とした少年たちを想いながら書いたYA小説。悩みや夢を抱えて生きる中学生の姿や愛、友情、生と死、家族や友人を亡くした者の心情などが細やかに綴られている。2004年の発売から累計40万部を記録するロングセラー。4カ国で翻訳出版されている。

ある日、中学3年生のジェジュンがバイク事故で命を落とした。彼の日記の冒頭の「ある日、僕が死にました。僕の死の意味は何でしょうか」という文章に衝撃を受けた母親に頼まれ、彼の親友だったユミが代わりに日記を読むことになった。転校後、先生から問題児扱いされ、クラスにも馴染めずにいた彼女にとってジェジュンは唯一の友人だった。その文章は自殺を示唆するものではないことがわかったが、日記にはユミにも明かしていなかった彼の本心が書かれていた。ジェジュンとユミはそれぞれ好きな相手に告白してふられていたが、きっぱり諦めたユミとは違い、ジェジュンは相手ソヒのことが忘れられずにいたのだ。童顔で小柄な自分に劣等感を抱いていた彼は、ソヒが「バイクに乗る男はかっこいい」と話しているのを耳にし、男らしい姿をソヒに見せたい一心で、本当は怖いのを我慢してバイクの練習を始めた。車の少ない深夜に車道での練習もしてみるつもりだという内容で日記は終わっていた。その数日後の午前3時、彼は街路樹に衝突して死んだ。実は即死ではなく、事故に遭ってから2時間は息があったという話を聞き、ユミは彼を助けてあげられなかった自分を責め、さらに深い悲しみに沈む。だがやがて、悲痛な思いを先生や家族に表出しながら徐々に心の整理をつけていく。ジェジュンは、ふられてもなお一途にソヒを想い、臆病な自分を変えようと努力し、チャップリンのような喜劇俳優になる夢を抱きながら、15歳の少年らしく生きたのだと。彼の死の意味はまだわからないが、自分の心に大きな愛を残したこと、自分の中で生き続けることだけは確かだと。ユミは心の中で彼に別れの挨拶を告げる。彼の母に日記を返して読んでみるように言おうと考えながら。

●目次

プロローグ

第1章:青い表紙の日記帳

第2章:桜が咲いていたあの春の日

第3章:ついに表紙をめくる

第4章:あんたと友だちになるんじゃなかった

第5章:先生とのデート

第6章:まだあんたは私のそばにいる

第7章:別れの挨拶

あとがき

●日本でのアピールポイント

厚生労働省の統計(2019年)によると、日本では15~39歳の死因の1位は自殺で、15~24歳の死因2位は不慮の事故だ。そうした状況にある日本で、身近な人、特に未来ある若者を突然失った人の心情に寄り添う本書は関心を持って読んでもらえるのではないかと思う。

作成:牧野美加

イ・ギョンヘ
1960年、普州生まれ。韓国外国語大学仏語教育学専攻。92年『文化日報』冬季文芸に中編小説が当選し、文壇デビュー。2001年「韓国百想出版文化賞」受賞。童話や絵本(文)など著書多数。日本語やフランス語の絵本の翻訳も手がける。