『魔法少女はなぜ世界を救えなかったのか?』(ペク・ソルフィ、ホン・スミン/著、渡辺麻土香/訳、晶文社)

まずはこの書籍タイトルに惹きつけられた一冊です。私たち自身が知らず知らずのうちに、見聞きしたもので形作られていく意識について、具体的なさまざまな作品を通し、ジェンダー意識そのものについて解き明かしてくれているのはとても新鮮な驚きでした。
今の時代だからこそ、そうした「少女文化コンテンツ」の持つ二面性について改めて知っておくことの大切さ、を感じさせてくれる一冊でした。

翻訳者の渡辺麻土香さんからコメントを頂戴しました。

フェミニズムと聞くと、なんとなく身構えてしまう……そんな方でもディズニープリンセスや「魔法使いサリー」「セーラームーン」「プリキュア」などのアニメを見たり、ゲームや人形・フィギュアで遊んだり、日韓のアイドルを応援したり、「ハリー・ポッター」などのファンタジー小説を読んだりしたことはあるでしょう。本書は、そうしたさまざまなエンタメ作品やそれに付随するマーケティングを通して子どもたちを窮屈にするジェンダー感の実情を教えてくれる一冊です。
日本人にとっては特になじみ深い作品が数多く登場するので、そうした作品を懐かしく振り返りつつ、ハッとするような目からうろこの発見も楽しんでいただければと思います。(渡辺麻土香)

『魔法少女はなぜ世界を救えなかったのか?』(ペク・ソルフィ、ホン・スミン/著、渡辺麻土香/訳、晶文社)