教保文庫、5月の月間ベストと注目の新刊(エッセイ)

教保文庫の5月のエッセイ月間ベスト10と注目の新刊情報をご紹介します。日本でも訳書が出版されているイム・キョンソンの新作エッセイが10位にランクインしました。注目の新刊エッセイは、『あまりにも真昼の恋愛』(すんみ訳、晶文社)のキム・グミによる『식물적 낙관(植物的楽観)』と、バラエティやドラマなどで活躍し、日本でもお馴染みの俳優ポン・テギュによる『괜찮은 어른이 되고 싶어서(いい大人になりたくて)』などです。

1位:『당신은 결국 무엇이든 해내는 사람(君は結局何でもやり遂げる人)』(10万部記念特別リカバーエディション)キム・サンヒョン(Feelm/2022.04.20)
2位:『이지성의 1만 킬로미터(イ・ジソンの1万キロメートル)』イ・ジソン(チャイジョンウォン/2023.04.20)
3位:『기분이 태도가 되지 말자(気分が態度にならないように)』キム・スヒョン(ハイスト/2022.11.25)
4位:『우정 도둑(友情泥棒)』ユ・ジヘ(ノル/2023.05.17)
韓国のMZ世代(1980年代前半から2010年ごろまでに生まれた世代)のアイコン的存在である著者待望のエッセイです。タイトルの「泥棒」は、「自分にないものや、その不在を埋めようとする欲望」を意味しており、著者にとってその対象は「友情」でした。自分にないものを互いに「盗み」、それゆえに完璧になる関係を通して、人や世界の美しさを感じることができる一冊です。
5位:『망그러진 만화(いびつなマンガ)』(桜エディション)ユラン(チョウンセンガク/2022.11.01)
6位:『나의 봄날인 너에게(私の春の日である君へ)』ヨスオンニ(チョン・ヘヨン)(ノル/2023.04.26)
7位:『괜찮아, 그 길 끝에 행복이 기다릴 거야(大丈夫、その道の先には幸せが待っているはず)』ソン・ミナ(コアラカンパニー/2023.04.05)
8位:『기분을 관리하면 인생이 관리된다(感情をコントロールすれば人生をコントロールできる)』キム・ダスル(クラウディア/2022.04.12)
9位:『오늘부터 성장할 나에게(今日から成長する私へ)』キム・セへ(Feelm/2023.05.18)
2016年からYouTubeで自己啓発に関するコンテンツを配信してきた著者は、その他にもアートコラムを執筆したりボランティア活動をしたりと、あらゆる分野で活躍しています。本書は、ネガティブな感情を、楽しさや自信、満足、余裕といったポジティブなものに変えていく方法を提示しています。目的に合わせてどこからでも読むことができる構成、達成感が得られるTo Doリスト、自分なりの答えを書き込める記録ページなども魅力的です。
10位:『나 자신으로 살아가기(私自身として生きること)』イム・キョンソン(マウルサンチェク/2023.05.25)
『村上春樹のせいで』(渡辺奈緒子訳/季節社)の著者による新作エッセイです。年をとっても自分軸を忘れない生き方、持続可能な執筆生活、自分らしい人生を生きていく選択について悩んできた著者が、長い時間をかけて出した答えは「私自身として生きること」でした。自らの人生を丁寧に生きていくことの喜びと美しさを感じられる一冊です。

注目の新刊
『식물적 낙관(植物的楽観)』キム・グミ(文学トンネ/2023.6.1)
『あまりにも真昼の恋愛』(すんみ訳、晶文社)の著者キム・グミによる2冊目のエッセイ集。2020年夏から2022年冬までハンギョレに連載していたエッセイ「植物する心」に未発表の原稿を加えて1冊にまとめたもの。日々の暮らしで出合った植物や四季の移ろいを通じて心の機微を丁寧に柔らかく描き出しています。

『괜찮은 어른이 되고 싶어서(いい大人になりたくて)』ポン・テギュ(ザ・クエスト/2023.05.10)
ドラマや映画、バラエティなどで活躍中の著者の3冊目となるエッセイです。夫として、父として、俳優として、息子として……。さまざまな立場で与えられた責任を全うしながら、「いい大人になるために」努力してきた著者が、社会を構成する一人としての哲学や、両親との複雑な関係について、親になって学んだことなどについて語ります。

『찌그러져도 괜찮아(ひしゃげたって大丈夫)』チオ(ブックロマンス/2023.05.02)
カカオトークで人気のスタンプ、「ひしゃげたアヒルのチオ」初のエッセイです。「ひしゃげていたって僕は僕!」と宣言するチオは、私たちがすでに完璧な存在であることを教えてくれます。162編のエピソードと300余りのイラストを通じて、自信満々なチオがユーモアを交えながら、今を生きる私たちを励まします。(文/金知子)