賢いのに、たまに何も知らない(똑똑한데 가끔 뭘 몰라)

原題
똑똑한데 가끔 뭘 몰라
著者
ジョンウォン
出版日
2023年12月18日
発行元
チャンビ
ISBN
9791193022344
ページ数
152ページ
定価
15,000ウォン
分野
コミック

●本書の概略

席替えでは男女のペアじゃなくてもいいじゃないかと先生に意見する方法を一生懸命考える。「キムチを食べる=韓国人」というわけじゃないと先生に気付かせる。年下の子に傘を譲ってあげる。弱っている子犬を助けようと自分にできることをする。落ち込む友だちをみんなで元気づける。一人で抗議活動をするお爺さんに差し入れして、ついでに自分たちの主張にも協力を仰ぐ。
自分の“大切”を大切にし、大人の無意識の固定観念や不公平を甘受しないジョンフン、ソクジン、ジュンソ、ハリーが学校の内外で、疑問に思うことに子どもなりのやり方で全力でぶつかっていく。
『子供という世界(어린이라는 세계)』の作家キム・ソヨン、『心のこと(마음의 일)』の詩人オ・ウンが大絶賛した、2023年韓国漫画映像振興院「多様性漫画」選定作品。

●目次

・隣の席は大切
・チャジャンラーメンは大切
・給食は大切
・トッポッキは大切
・傘は大切
・夏休みは大切
・ワンコは大切
・おばあちゃんは大切
・こどもは大切
・エピローグ

●日本でのアピールポイント

2011年以降に生まれた人たちはα(アルファ)世代と呼ばれ、人種や性別、価値観など多様性(ダイバーシティ)を受け入れ尊重する、モノよりも体験を重視するなどが特徴とされる。
本作に登場する子どもたちはまさにα世代で、自分の考えに従って行動する。先生に伝えたい意見を日記に書く。希望は通らずとも結果は受け入れる。子どもの入店禁止のお店でも美味しさを伝える。自分より弱い存在には当たり前に手を差し伸べる。キムチを食べる外国ルーツの子に「もう韓国人だね」と言う先生に粋にブーメランを喰らわせる姿はスカッとする。
小学4年生といえば、ジブリ映画でお馴染みの『おもひでぽろぽろ』や『ちびまる子ちゃん』が年齢の近い主人公の作品だ。これらは作者の半自叙伝で昭和ノスタルジーであるのに対し、本作は2023年現役小学生のフィクションである。我々大人はα世代のジョンフンたちから、価値観のアップデートを学ぶことができるだろう。
作中のちょっとした場面から「似ているけど違う」韓国事情が見られるのも面白い。例えば給食。食堂で友だちと食べる場面は教室配膳型が主流の日本とは異なる。また、放課後の買い食い。学校帰りにトッポッキを食べる場面も日本の小学生に置き換えると驚くだろう。
「ここにあるのは“子どものlife”。現代っ子もあの頃の私もみんな一緒。」(作家キム・ソヨン)
「まるでパズルのようだ。作品中のピースは座席のペア、給食、傘、子犬、おばあちゃんなど…次は私だけの“大切”を加えて、素敵なパズルを完成させるんだ!」(詩人オ・ウン)
私も4年生に戻ってジョンフンたちと友達になりたい!

(作成:森田 奈美子)

ジョンウォン
漫画家。 2019年『今年のミスク(原題:올해의 미숙)』(チャンビ)で読者から多くの共感を得て、2021年「私たちの漫画大賞」受賞。ウェブコンテンツにて多数の短編漫画を掲載。本サイト「日本語で読みたい韓国の本」においても先述の『今年のミスク』、『遅れた返事(原題:뒤늦은 답장)』が紹介されている。