●本の概要
各分野の「オタク」が自分の趣味を紹介する本を作成したら面白そう、という好奇心から出版されたエッセイ集。この本では45人の著者が自身の趣味を紹介しており、「本」、「映画」、「音楽」、「勝負」、「部屋で楽しむもの」と大きく5つのカテゴリーから構成されている。
旅行の移動手段として飛行機に乗るのではなく、飛行機に乗るために旅行をする人、シャネルを「高価なブランド品」としてではなく、創始者のガブリエル・シャネルの哲学に惹かれ、シャネルを愛する人等々。趣味という普遍的なテーマでありながら、内容はどれもとても深く読み応えがある。多様な情報を得られるだけでなく、「やりたいことをやるために生きる」という人生の素晴らしさも同時に教えてくれる一冊だ。
●目次
MY LIBRARY
MY THEATER
MY STUDIO
MY ARCADE
&MY ROOM
●日本でのアピールポイント
「趣味は何ですか?」という質問は初対面の人との会話で必ずと言っていいほど登場する。また、それは日本に限らず世界的に見ても同じことが言えるといっても過言ではないかもしれない。気軽に人に聞くことができ、且つ相手がどのような人か知ることができ、意外な一面や共通点を発見できるものが「趣味」なのかもしれない。
この本では45人の45様の趣味が自分の言葉で紹介されている。「読書」や「音楽(映画)鑑賞」という大きな枠での趣味の話ではなく、「日本の学園ミステリー小説」、「野球漫画」、「ディズニープリンセス」、「ニュージャックスウィング」などといった細かい分野における話が展開されている。また、著者はどの人も自分の趣味を極めたいわゆる「オタク」であり、1人あたり10ページ分程度で構成された話からは対象への愛情がひしひしと感じられる。読みながら「こういう分野のオタクがいるんだ」と思わず唸りたくなるような面白さがこの本のポイントのひとつである。
また、「趣味」は年代や国籍を問わず、万人が楽しめるトピックであるうえ、日本の特撮ヒーローや、日本の小説、アイドル、相撲等の話も登場するため、日本人が読んでも十分に楽しめる一冊だろう。
最後に、自分が関心のない分野、ひいては偏見をもっているような分野の話が登場したとしても、飛ばさずに一度最後まで全て読むことを強くオススメしたい。その分野に関する新しい発見や、関心をもつきっかけを与えてくれるかもしれない。
(作成:上坂さつき)