表紙を開いた扉ページに書かれた作者クォン・ジョンミンさんからのメッセージを読んだだけで、何だかグッときてしまいました。そうそう、「おかあさん」も赤ちゃんと一緒に生まれた新しい人類ですよね。誰も最初から「おかあさん」だった人はいないのですから。その新人類「おかあさん」の日常を赤ちゃんの目線から紹介するという新しい視点は、もう「おかあさん」になった人も、これから「おかあさん」になる人も、「おかあさん」の子であった人も、手に取ってほしくなる絵本でした。
翻訳者のわたなべなおこさんからもメッセージを頂戴しました。
通常なら非公開でだれにも知られることのない「生まれたばかりのおかあさん」の実態を、作者のクォン・ジョンミンさんが「赤ちゃん目線」で見事に一冊の絵本にしてくれました。寝不足で体はぼろぼろ。オムツ、ミルク、寝かしつけ、夜泣き……と24時間エンドレスに赤ちゃん対応をしていると、ほんとうにこんな顔になってしまうのです（絵本に描かれたおかあさんの表情を見てください）。美しい理想の母親像とはかけはなれているかもしれないけれど、今も昔もおかあさんたちはみんなこんなふうに懸命に子どもを育ててきた。それを思うと、なんだか心があったかくなる、そんな一冊です。（わたなべなおこ）
『おかあさん観察図鑑』（クォン・ジョンミン/著、わたなべなおこ/訳、NHK出版）
