教保文庫の3月の月間ベスト10(国内小説)と注目の新刊情報をご紹介します。今年のブッカー国際賞の最終候補に選ばれたチョン・ボラ著『呪いのウサギ』は、改訂版が刊行されています。
1位:『불편한 편의점(不便なコンビニ)』(40万部記念 桜エディション)キム・ホヨン著(ナムヨップウィジャ/2021.4.20)
2位:『어서 오세요, 휴남동 서점입니다(いらっしゃいませ、ヒュナム洞書店です)』ファン・ボルム著(クレイハウス/2022.1.17)
3位:『달러구트 꿈 백화점(ダラグート 夢の百貨店)』(100万部記念合本版)イ・ミイェ著(ファクトリーナイン/2021.12.25)
4位:『달러구트 꿈 백화점(ダラグート 夢の百貨店)』イ・ミイェ著(ファクトリーナイン/2020.7.8)
5位:『지구 끝의 온실(地球の果ての温室)』キム・チョヨプ著(ジャイアントブックス/2021.8.18)
6位:『아몬드(アーモンド)』ソン・ウォンピョン著(チャンビ/2017.3.31)
7位:『달러구트 꿈 백화점2(ダラグート 夢の百貨店2)』イ・ミイェ著(ファクトリーナイン/2021.7.27)
8位:『칵테일, 러브, 좀비(カクテル、ラブ、ゾンビ)』チョ・イェウン著(安全家屋/2020.4.13)
オカルトミステリー『シフト』で2016年「教保文庫ストーリー公募展」を受賞した著者による短編集。デビュー作『オーバーラップ ナイフ、ナイフ』を含むホラー・スリラー小説が4編収録されています。今年1月に同じく安全家屋から出たアンソロジー『パルプフィクション』にも著者の作品が収録されています。
9位:『밝은 밤(明るい夜)』チェ・ウニョン著(文学トンネ/2021.7.27)
10位:『구의 증명(クの証明)』チェ・ジニョン著(ウネンナム/2015.3.30)
注目の新刊は以下のとおりです。
『저주토끼(呪いのウサギ)』(改訂版)チョン・ボラ著(アジャク/2022.4.1)
2017年に刊行された著者の代表作で、表題作を含むSFホラー短編10編が収録されています。2022年のブッカー国際賞ロングリスト(1次候補・13作)に選ばれたのを受け改訂版が刊行され、続いてショートリスト(最終候補・6作)にも残りました。邦訳本の刊行も予定されているそうです。
惜しくも最終候補には残りませんでしたが、同賞1次候補にはパク・サンヨンの『大都会の愛し方』(オ・ヨンア訳/亜紀書房)も選ばれています。
『레이디 맥도날드(レディー・マクドナルド)』ハン・ウニョン著(文学トンネ/2022.3.30)
トレンチコートを着て毎日のようにソウル市内のマクドナルドで長時間過ごし「マクドナルドハルモニ」と呼ばれていた実在のホームレス女性(故人)。2010年にテレビ番組で取り上げられた際、スターバックスでコーヒーを飲み、テレビ局の関係者にホテルのレストランでの食事を求めるその姿が「虚栄心に溺れて現実を把握できていない、自尊心の塊のような女性ホームレス」と批判を浴びました。「でも、本当にそうだったのだろうか?」 著者ハン・ウニョンはマクドナルドハルモニを独自の観点で再解釈し、長編小説として描きました。
『2022 제13회 젊은작가상 수상작품집(2022 第13回若い作家賞受賞作品集)』イム・ソラほか著(文学トンネ/2022.4.8)
デビュー10年以下の作家を対象とする若い作家賞、今年はイム・ソラの「초파리 돌보기(ショウジョウバエの世話)」が大賞に選ばれました。そのほか、キム・メラ、キム・ビョンウン、キム・ジヨン、キム・ヘジン、ソ・スジン、ソ・イジェの受賞作が収録されています。