教保文庫、7月の月間ベストと注目の新刊(韓国通信)

教保文庫の7月の月間ベスト10(国内小説)と注目の新刊をご紹介します。大人気の『ダラグート 夢の百貨店』の続編が刊行と同時に3位に入りました。先月、英国の翻訳推理小説賞を受賞したユン・ゴウンの『夜の旅人たち』も再び注目を集めています。また「1cmシリーズ」のキム・ウンジュさんの新作エッセイが刊行されたほか、カン・ファギルさん、キム・チョヨプさんの長編も間もなく刊行予定です。

1位:『완전한 행복(完全な幸福)』チョン・ユジョン著(ウネンナム/2021.6.10)
2位:『달러구트 꿈 백화점(ダラグート 夢の百貨店)』(50万部記念ドリームエディション)イ・ミイェ著(ファクトリーナイン/2020.7.8)
紙の書籍だけで55万部以上が販売されたベストセラー。約10カ国に版権が輸出され、ドラマ化も決まったそうです。教保文庫とYes24の2021年上半期ベストセラー1位に輝きました。
3位:『달러구트 꿈 백화점2(ダラグート 夢の百貨店2)』イ・ミイェ著(ファクトリーナイン/2021.7.27)
“大人のためのヒーリングファンタジー”と評判の『ダラグート 夢の百貨店』の続編です。眠っているときにだけ入店でき、好みの夢を買うことができる「夢の百貨店」。そこで働きはじめて1年、仕事にも慣れ、責任ある役割も任されるようになったペニーを中心に、百貨店でのさまざまな出来事を描きます。
4位:『아몬드(アーモンド)』ソン・ウォンピョン著(チャンビ/2017.3.31)
5位:『밝은 밤(明るい夜)』チェ・ウニョン著(文学トンネ/2021.7.27)
『ショウコの微笑』『わたしに無害なひと』で知られる著者の初の長編。日本の植民地支配や解放、朝鮮戦争を経て現在に至るまで、激動の時代を生きた曾祖母、祖母、母、わたしの女性4代にわたる物語です。
6位:『종의 기원(種の起源)』チョン・ユジョン著(ウネンナム/2016.5.16)
7位:『불편한 편의점(不便なコンビニ)』キム・ホヨン著(ナムヨップウィジャ/2021.4.20)
『망원동 브라더스(望遠洞ブラザーズ)』で世界文学賞優秀賞を受賞しデビューした著者による長編。ソウル駅でホームレスとして暮らしていた男性が夜間のアルバイトをするようになったコンビニが舞台です。人々の喜怒哀楽を温かくユーモアたっぷりに描きます。
8位:『고구려. 7: 동백과 한란(高句麗 7:椿と寒蘭)』キム・ジンミョン著(イタブックス/2021.6.14)
9位:『밤의 여행자들(夜の旅人たち)』ユン・ゴウン著(民音社/2013.10.11)
災害により廃墟となった地域の観光ツアーを専門とする旅行会社の社員ヨナが、砂漠のシンクホールを訪れて予想外の出来事に巻き込まれる物語です。今年7月、英国推理作家協会が主宰するダガー賞(The CWA Dagger)の翻訳推理小説賞をアジアの作家としては初めて受賞したことから再び注目を集めています。
10位:『제12회 젊은작가상 수상작품집(第12回若い作家賞受賞作品集)』チョン・ハヨンほか著(文学トンネ/2021.4.7)

注目の新刊は以下のとおりです。
『나라는 식물을 키워보기로 했다(わたしという植物を育ててみることにした)』キム・ウンジュ著(ハミングバード/2021.7.23)
『+1cm たった1cmの差があなたの世界をがらりと変える』(簗田順子訳)、『+1cmLOVE たった1cmの差があなたの愛をがらりと変える』(カン・バンファ訳)『+1cmLIFE たった1cmの差があなたの未来をがらりと変える』(小笠原藤子訳/いずれも文響社)の「1cmシリーズ」でおなじみの著者による新作エッセイ。“有害なものに取り囲まれた日常のなか、「わたし」という植物を育てる「セルフガーデニング」プロジェクト”。世界的なイラストレーターWorry Linesがイラストを担当しています。

『대불호텔의 유령(大仏ホテルの幽霊)』カン・ファギル著(文学トンネ/2021.8.13予定)
朝鮮戦争の傷痕が各地に残っていた1950年代、幽霊に憑かれた建物「大仏ホテル」に引き寄せられるように集まった4人。彼らの体験する恐怖を描いたゴシックホラー小説です。著作の『別の人』はこの春、邦訳本(小山内園子訳/エトセトラブックス)が出ました。

『지구 끝의 온실(地球の果ての温室)』キム・チョヨプ著(ジャイアントブックス/2021.8.18予定)
『わたしたちが光の速さで進めないなら』(カン・バンファ訳/早川書房)で知られる著者の初の長編。ダストで滅亡したあとの世界を描きます。

『햇빛은 찬란하고 인생은 귀하니까요: 밀라논나 이야기(日は燦々と輝き、人生は大切ですから:ミラノンナの物語)』チャン・ミョンスク著(キムヨンサ/2021.8.18予定)
韓国人初のミラノへのファッション留学生、ソウルアジアンゲーム開・閉幕式の衣装デザイナー、イタリア政府名誉ナイト爵位授与者、購読者数87万人のユーチューバー。さまざまな経歴を持つ1952年生まれの「ミラノンナ」チャン・ミョンスクが、すべての人への応援と希望のメッセージを込めて綴ったエッセイです。(文/牧野美加)