●本書の概略
本書は、韓国の国民的詩人であるナ・テジュと、アイドルグループGirl’s Dayの元メンバーで、近年は芸術家としても活動している女優ユラによる詩画集である。
「人生の旅路で出会った老詩人と若い画家のハーモニー」というサブタイトルにもあるように、「季節」と「旅行」をコンセプトに、ナ・テジュの詩の中から、春・夏・秋・冬それぞれの季節の旅にまつわる詩を集め、その詩に合ったユラの油絵が挿絵としてページを鮮やかに彩っている。
また、既存の詩だけでなく、ナ・テジュがユラの絵画作品を見て、本書のために新しく書き下ろした詩を含めた全80遍の詩を「春が咲き、夏が過ぎ、秋が深まり、冬が降る」という4つの章に分けて構成している。
人生という旅の中で誰もが見てきた景色を、どこか寂しさを感じさせながらもやさしい言葉で綴られる感性溢れる詩と、やわらかく鮮やかなタッチで描かれた風景画を通して思い出させる。ページを開くだけでどこか遠い場所へ旅に出たような気持ちにさせてくれる、癒しの一冊。
●目次
・詩人の言葉
・画家の言葉
1部ー春が咲き
2部ー夏が過ぎ
3部ー秋が深まり
4部ー冬が降る
・絵画作品目録
●日本でのアピールポイント
詩を担当するナ・テジュは、韓国ではアイドルなど若い層からの支持も受けながら、ドラマで著書が引用されるなど国民的詩人として人気を集めている。日本でも近年邦訳版が出版された『花を見るように君を見る』が日本国内8万部、日韓累計70万部の売り上げを突破し、その名が知られるようになった。絵を担当するユラは、日本デビューもした女性アイドルグループGirl’sDayのメンバーであり、女優としても複数の韓国ドラマに出演している。本書では、日本人にも馴染みのあるそんな二人の、新しい一面に出会える一冊となっている。
韓国と日本に共通して訪れる四季をテーマに、穏やかで豊かな感性で綴られるナ・テジュの詩は、日本の読者にも読みやすいのではないだろうか。韓国の詩の文化に触れるきっかけの一冊としてもおすすめしたい。
(作成:松田奈穂子)