本書の概略
本書は、外見至上主義が無意識に広がってしまった韓国社会に訴えるエッセイである。現代の韓国や日本社会では、痩せている体型に対する憧れや賞賛が強い。体型に対する偏った美の基準がありふれる環境で生きている私たちは、無意識に「痩せている=成功」と思ってしまっている。
この作品は、「48kg」が女性の目標体重とされる韓国で、幼いころから体型批判を受けダイエットに苦しみ、悩み続けた作者が実際に経験した物語が描かれている。
「痩せていない体では、何かを望むことさえもできないのか?」
美しくなるために多くの情熱を注記続けた作者は、このような社会に疑問を抱いた。この本は、そんな彼女がボディポジティブに気づいてから、自分らしく生きていくまでの成長過程が書かれている。
過去に自分の体型と自分自身に自信がなかった作者は、現在、韓国初の「ナチュラルサイズモデル」として活動し、自分のやりたいことに向かって進めるようになった。
太ることが死ぬより嫌だった作者は、なぜダイエットをやめたのか? 「ボディポジティブ」の大切さを伝える作者が、現代社会のルッキズム(外見至上主義)について明快に訴えている。
目次
プロローグ:今この瞬間にダイエットをしている誰かさんへ
1章. この体重では幸せになれない
2章. 痩せてかわいくなりたかった
3章. ダイエットをやめた
4章. やっと自分らしく生き始めることにした
日本でのアピールポイント
この作品は、痩せている体型に対する憧れが強い日本社会に、自分らしく生きる大切さとあらゆる体型の多様性を受け入れる大切さを教えてくれる。「痩せている=美しい」というメッセージで溢れている現代社会に、「私らしく生きる」ことについて考えさせ、美の基準に囚われず自分が幸せに生きていくヒントを教える一冊と言えるだろう。
「ダイエット」は私たちの生活で当たり前のようになってしまったが、この本には「そういえば私も経験したことあるかも?」という共感を呼ぶ話も含まれている。そのため、これは個人のストーリーではなく、「私たちのストーリー」として若者の共感を呼ぶ。
本書を通して、自分の外見や体型批判などに悩んできた同世代の若い女性が、ポディポジティブに気づき、前向きに生きるためのメッセージを伝える影響がある作品だ。
(作成:梁 善実)