『小さな町』(ソン・ボミ/ 著、橋本智保/訳、書肆侃侃房)

韓国文学をシリーズで出版を続けてくださっている福岡の出版社、書肆侃侃房の「Woman’s Best 17 韓国女性文学シリーズ14」は、ソン・ボミ著、橋本智保訳『小さな町』です。日本では6人の女性作家が描く“おばあちゃん”アンソロジー『私のおばあちゃんへ』にて短編が邦訳され、今回長編初邦訳となるソン・ボミ作家は、韓国内で若い作家賞、大山文学賞、李箱文学賞を続々と受賞した実力派。過去と現在が交錯しながら展開して語られる「小さな町」から始まる家族、そして自分自身を見つめる物語が最後にたどり着く先をぜひ見届けて欲しいと思える作品。
翻訳を担当された橋本智保さんから、推薦のコメントを頂戴しました。

表紙の赤い服や、表情のない人たちから不穏な雰囲気が漂ってきます。『小さな町』(ソン・ボミ 書肆侃侃房)はミステリー小説ではありませんが、これまで扱われてこなかった事件をモチーフにした物語です。この事件は誰の身にも起こりうるものであり、韓国社会の深淵に触れるものでもあります。過去と現在を交錯させることで浮かび上がってくるのは、記憶から消えてしまった母と娘の生。登場人物たちのちょっとした言動や出来事など、物語の中に散らばったパズルのピースを合わせたら、意外な絵が見えてくるかもしれません。
小さな町にいらっしゃいませんか? (橋本智保)

『小さな町』(ソン・ボミ/ 著、橋本智保/訳、書肆侃侃房)