『世宗大王をさがせ ーハングルをつくった王さまー』(キム・ジン/文、チョン・ジユン/絵、わたなべなおこ/訳、 TOY Publishing)

韓国では、10月9日は「ハングルの日」として祝日です。言語が完成し、発布された日が明確にわかっている貴重な言語であるハングル。そのハングルを創製したのが、朝鮮王朝第4代目国王、世宗大王です。言葉に限らず、農業・天文学・音楽など多方面の分野の技術発展に力を注いだ王として歴代の国王の中でも一番尊敬を集める王、世宗大王が科挙と呼ばれる大事な国の役人(官吏)の登用試験の日に、その試験問題を出すはずの王様が見つからないことから起こる出来事が描かれています。なぜ世宗大王はいなくなったのか? 姿を消した世宗大王を探す、探し絵絵本として楽しみながら、世宗大王がハングルをつくった背景を学ぶ歴史絵本です。

翻訳を担当した、わたなべなおこさんからコメントが届きました。

世宗大王は光化門前に立派な銅像があり、紙幣に肖像画が描かれているあまりにも有名な王様ですが、私も韓国語使用者の一人として、やはりこの王様に特別な尊敬の気持ちを持っています。録音器具もコンピューターもない時代に、すべての音を体系的に記述できる文字をつくり普及させるというのは「天の星をつかむ」ほど壮大で困難なプロジェクトだったと想像するからです。実際にハングルのような成り立ちを持つ文字というのは、世界でも他に類を見ないそうです。ハングルが世界の文字のひとつとして確固たる地位を得て、世界中のたくさんの人たちがこの文字を使って知識を得たり、好きな音楽に出会ったり、大切な人とつながったりしている今を世宗大王にも見せてあげたいものだなと思いながら、この素敵な絵本を大切に翻訳させてもらいました。

『世宗大王をさがせ ーハングルをつくった王さまー』(キム・ジン/文、チョン・ジユン/絵、わたなべなおこ/訳、 TOY Publishing)