教保文庫、8月の月間ベストと注目の新刊(韓国小説)

教保文庫の2023年8月の月間ベスト10と注目の新刊情報(韓国小説)をご紹介します。1位は日本でも人気のチェ・ウニョンさんの新作小説集です。また、コンビニやコインランドリーなど身近な場所を舞台にした「ヒーリング小説」も続々と刊行されています。

1位:『아주 희미한 빛으로도(ほんのかすかな光でも)』チェ・ウニョン著(文学トンネ/2023.8.7)
2位:『비가 오면 열리는 상점(雨が降ると開く店)』ユ・ヨングァン著(クレイハウス/2023.6.14)
3位:『메리골드 마음 세탁소(マリーゴールド 心のクリーニング屋)』ユン・ジョンウン著(ブックロマンス/2023.3.6)
4位:『모순(矛盾)』(ハードカバー)梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2013.4.1)
5位:『구의 증명(クの証明)』チェ・ジニョン著(ウネンナム/2023.4.26)
6位:『불편한 편의점(不便なコンビニ)』(40万部記念 桜エディション)キム・ホヨン著(ナムヨップウィジャ/2021.4.20)
7位:『너무나 많은 여름이(あまりにも多くの夏が)』キム・ヨンス著(レジェ/2023.6.26)
8位:『불편한 편의점2(不便なコンビニ)』(紅葉エディション)キム・ホヨン著(ナムヨップウィジャ/2022.8.10)
9位:『연남동 빙굴빙굴 빨래방(ヨンナム洞くるくるコインランドリー)』キム・ジユン著(ファクトリーナイン/2023.8.18)
電子書籍プラットフォーム「密里の書斎」内の新進作家プラットフォーム「密里ロード」で公開され、わずか1週間でベストセラー1位となった作品。好評につき紙の書籍の刊行に至りました。舞台は架空の町ヨンナム洞にある24時間営業の無人コインランドリー。独居老人や、育児ストレスに苦しむ女性、なかなか芽が出ないドラマ作家、デート暴力の被害者などそれぞれに悩みを抱える利用客たちは、コインランドリーに置いてあるノートを通して互いの心を癒やします。
10位:『풍수전쟁(風水戦争)』キム・ジンミョン著(イタブックス/2023.5.24)

注目の新刊は以下のとおりです。

『여름을 한 입 베어 물었더니(夏を一口かじったら)』イ・コンニム著(文学トンネ/2023.8.18)
『世界を超えて私はあなたに会いに行く』(矢島暁子訳/KADOKAWA)や『殺したい子』(矢島暁子訳/アストラハウス)などで韓国の青少年文学最高のページターナーと評される著者の初の恋愛小説です。聞きたくない他人の心の声が聞こえてしまうユチャンと、自分は生まれるべきではなかったと考えるハジオ、ともにティーンエイジャーの二人の物語です。

『마주(向き合う)』チェ・ウンミ著(チャンビ/2023.8.25)
若い作家賞や現代文学賞、韓国日報文学賞などを受賞した著者による6年ぶり、2作目となる長編小説です。新型コロナウイルスの大流行により世界中が不安に包まれていた2020年を背景に、孤立や断絶を深めていった人々の様子や、顔を合わせて向き合うことで初めて伝えることのできた心を描き出します。邦訳に『第九の波』(橋本智保訳/書肆侃侃房)があります。(文/牧野美加)