【K-BOOK振興会だより】7月はK-BOOKのイベントもいっぱい/ソウル国際ブックフェアに行ってきました

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K-BOOK振興会便り  2025年7月号        http://k-book.org/
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ソウル国際ブックフェアも大盛況のうちに幕を閉じ、日本ではK-BOOK振興会が事務局を務める「K-BOOKフェスティバル2025」の
準備が本格的に動き出しました。今年は例年より少し早く参加出版社の募集を開始します。
最新情報は公式サイト(https://k-bookfes.com/)やSNS(@kbookfes)をチェックしてください。(ささき)

◆◇今月のTOPIK◇◆

●イベント情報●
7月12日(土):CHEKCCORI&オンライン
ダブル10周年祝賀! 小泉今日子さんを迎えて―韓国と日本の映像と文学の10年とこれから―
https://chekccori250712.peatix.com/

7月25日(金):ジュンク堂書店の池袋本店
『働きたいのに働けない私たち』刊行記念 小山内園子さん・中野円佳さんトークイベント
https://honto.jp/store/news/detail_041000116626.html?shgcd=HB300

7月25日(金):CHEKCCORI&オンライン
きむ ふな×斎藤真理子~翻訳家たちのおしゃべりの時間「10年間の翻訳のこと、これからの翻訳のこと」~
https://chekccori250725.peatix.com/

7月28日(月):東京下北沢の本屋B&B&オンライン
金原ひとみ×朝吹真理子×山中瑶子「韓国と出会って考えたこと」新文芸誌『GOAT meets』刊行記念
https://bb250728a.peatix.com/

7月30日(水):CHEKCCORI
チェッコリ読書クラブ:テーマ本は『夏にあたしたちが食べるもの』
https://chekccori250730.peatix.com/

◆◇日本語で読みたい韓国の本◇◆

エッセイ 『ビビるな、大人(쫄지마, 어른)』
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●「大人」をテーマにしたエッセイ

大人らしさ、大人っぽさ、成熟した大人…真の大人とは? 自分は世間で言う大人になっているのか?
そんな思いを抱いてきたMZ世代の後輩ミジンとX世代の先輩ウナが大人について多角的に考え、10個のテーマについてまとめたエッセイ。
彼女たちは、いわゆる年相応な普通のルートを外れて心の赴くまま様々なことに挑戦し彷徨ってきた。
まだよく分かっていない人生に対して悩み、自問自答しながら答えを探す姿がウィットに富む表現や鋭い洞察力で語られている。
https://k-book.org/yomitai/250609/

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エッセイ 『ジョンオの歩いた道―そして、ふたたび旅に出る方法 (정오의 거리 -그리고, 또 다시 여헹하는 법)』
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●世界中を旅した著者イ・ジョンオの旅エッセイ

30ヵ国余りを旅してきた著者が、世界との距離を狭めながら自分の街を探し、その街になじんでいくことについて綴ったエッセイ集。
子どもの頃の夢は作家になることだったという著者は、世界中を旅して文を綴っていく。時には財布をすられたり、スマホを盗まれたりもした。
訪問するタイミングを間違えて後悔したこともあった。だがそうした失敗の中にも学びを見出して、過去の失敗は教訓として活かす。
そして今を生きるために前に進む。誰かにとっては日常である街が、他の地から訪れた人にとっては特別な街となる。
その街と自分との距離に悩みながら、自分ならではの街を作っていく。様々な気づきと逞しい精神力にあふれている。
https://k-book.org/yomitai/250616/

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小説 『京城幻想劇場(경성 환상 극장)』
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●1920年代の京城(現在のソウル)を舞台としたミステリーロマンス短編集

ジャンル文学の世界で注目を集め、精力的に活動を続けている5人の作家がリレー形式で物語をつなぐ。
舞台は、火神百貨店の裏にある幻想劇場。その劇場で『カルメン』再演に向けた準備を進める6月会という劇団の団員たちと、
周りの人物がさまざまな角度から描かれる。
無名作家と人気劇作家の新婚夫婦、端役の女優と投資家、衣装を担当する洋服店の店主と背景美術担当、チケット係と常連客、
主演女優と美術担当ーーそれぞれの登場人物たちが「愛」と向き合い、葛藤しながらも成長していく。
各話には謎が散りばめられており、最後の収録作「光よ、光よ」へとつながり、10年前に何があったのかが明かされる構成となっている。
https://k-book.org/yomitai/250623/

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児童書・絵本『塀(담)』
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●路地裏の子どもたちと塀のささやかな日常を描き、読者に懐かしさと安心感を与えてくれる絵本

高すぎず、低すぎない塀は本来、家と家の敷地を隔てるものであり、「私のもの」と「あの子のもの」を分けるものだった。
しかし、だれもいない家にひとりで帰り、親を待ちながら暇を持て余す子どもたちにとって、塀は次第にかれらを見守り、一緒に遊んでくれる友達になっていく。
かくれんぼの遊び場になり、のびのびと落書きできるキャンバスになり、5本の指を添えるとピアノの音色が聴こえてくるようだ。
そのうち、遠くから子どもを呼ぶ親の声!
作家自身も、塀のないアパートで二人の子どもを育てている。自由にあちこち遊びまわれる時代ではなくなったからこそ、
周囲の人々が、親しみのある塀のように、少しだけ心を開いて子どもたちを見守り育ててあげてほしいという願いが込められている。
https://k-book.org/yomitai/250630/
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◆◇日本語で読める韓国の本◇◆

『ハーバードの人生を変えるライティング』(ソン・スッキ 著/ 中川里沙 訳/ かんき出版社)
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「書くことは、考えること」の帯文にある通り、ライティング指南の本から「考える」ことの本質を学べる一冊だ。
著者ソン・スッキさんは韓国を代表するライティング・コーチで、原書『『150年ハーバード式ライティングの秘密』は韓国内で13万部を超えるベストセラーとなり、
小学4年生からできるエッセンシャル版として『作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文法』
(岡崎暢子訳、CCCメディアハウス、2024年)も翻訳出版されている。
訳者の中川里沙さんから推薦コメントを頂戴しました。
https://k-book.org/yomeru/250703/

◆◇ 韓国の出版・本屋事情 ◇◆

教保文庫、5月の月間ベストと注目の新刊(韓国小説)
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第7位に『あまりにも真昼の恋愛』や『敬愛の心』(すんみ訳/晶文社)の著者キム・グミによる新作小説がランクインしました。
注目の新刊・近刊ではNetflix (ネットフリックス)で人気を集めたドラマ「重症外傷センター:トラウマコード」の原作者、
韓山李家によるSFアワード2023ウェブ小説部門大賞受賞作や、キム・チョヨプら人気のSF作家によるアンソロジー、
8年ぶりとなるキム・エランの新作短編集を取り上げました。
https://k-book.org/publishing/20250612/

教保文庫、5月の月間ベストと注目の近刊(エッセイ)
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4位には、大統領当選記念のリカバーエディションとして出版された李在明大統領による初の自叙伝が、
6位には『すべての瞬間が君だった』の著者ハ・テワンによる2年ぶりの新刊が、それぞれランクインしました。
注目の新刊では、違いを楽しみながら結婚生活を送る日韓夫婦のエッセイを紹介しています。
https://k-book.org/publishing/20250610/

◆◇6月のK-BOOKらじお◇◆

#149 自分の体験と本の描写が重なり合って胸に響いたんです【神保町賞受賞】-恵比志奈緒さん|わたし、これ推してます
https://k-book.org/radio/radio_149/

#150 「真夜中の読書会」バタやんさんを迎えて|150回記念特別編
https://k-book.org/news/radio_150/

#151 韓国でブックフェアを楽しむ&地方の書店に出会う|ソ・ハナの韓国の本 ウロウロてくてく
https://k-book.org/radio/radio_151/

#152 久々にリスナーさんからの感想をご紹介!話題の映画原作小説も|わたし、これ読みました
https://k-book.org/radio/radio_152/

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K-BOOKの情報発信やフェスティバルを運営してきた、K-BOOK振興会のインターネットラジオです。

この番組では、韓国の本=K-BOOKを愛する皆さんに、日本で刊行された翻訳本の新刊情報やイベント情報、
韓国現地からの情報、そして読者の皆さんの声をご紹介します。
毎週金曜日 朝9時配信です!

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_____ミニコラム_______
〈五十嵐真希の小さな翻訳恋物語〉

♯6 ソウル国際ブックフェア

6月19日、20日とソウル国際ブックフェアに行ってきました。さかのぼること半年前の昨年末、「五十嵐さん、来年のソウル国際ブックフェア行きますか?」と、カナダで英日翻訳家として活躍している友人からメールが届きました。
コロナ禍前に2回、コロナ禍後も毎年足を運んではいるものの、さすがに半年後のことについてはまだ考えていませんでした。
彼女のメールには、ハン・ガンさんがノーベル文学賞を受賞したので、ソウル国際ブックフェアに関心をもったのだと。
年々賑わいは増しているし、2024年は息をするのも大変なほどの混み具合だったし(会場が例年より狭かったという事情もあった)。
ハン・ガンさんのことも考慮すれば、半年も前だけど早めに決めたほうがいいのかもと思い、ホテルだけ押さえることにしました。

ホテルを予約するときに気づきました。私が泊まるつもりの2025年6月18日から3泊は空きがあるのに、その1週間前の6月11日から17日まで、ソウルのどのホテルもほぼ満室であることに。国際的なスポーツ大会でもあるのかと、知り合いにこの話をしたら、BTSメンバー全員の兵役が終わるからだよと言うではありませんか。まだ半年前なのに。BTSの凄さとファンの深い愛情を改めて実感した出来事でした。

閑話休題。ブックフェアの前売り券を外国に居住している人は購入することができません。
これまでは、韓国在住の友人に買ってもらっていたのですが、友人が来られないというので、当日券を買うつもりでいました。
ところが、「前売り券だけで予定枚数に達したので当日券は発売しない」というアナウンスが開催1週間ほど前に突如としてなされ大慌て。幸いにも伝手があり、関係者として入場できるようになったのですが、このシステム何とかならないものか。

19日はオープン30分前に会場に到着したのに、すでに入り口付近は超長蛇の列。
群衆をつくっているのは主に20代、30代ぐらいの若い女性。
韓国では 芸能人やYouTuberなどが自分のオススメ本をSNSなどで紹介したり、
読者もおしゃれなカフェなどで読書する自分の姿をSNSなどに載せたり、
読書をオシャレに楽しむ風潮が生まれています。「テキストヒップ」という
言葉が生まれるほど。「 文字(text)」と「素敵な(hip)」を合わせた造語です。
この「テキストヒップ」 の影響かと 考えましたが、それだけではなさそうでした。
韓国の出版社の社長や編集者に話を聞いてみると、20代、30代の女性たちは社会にとても関心があり、進歩的。
自分たちが社会を変えていかなければという使命感、あるいは、自分が置かれている状況を知ろうとする探究心もあり、そういったところから足を運ぶのではないかと。
もちろん、会場ではすべての本が1割引で購入でき、会場限定、あるいは購入者限定の販促品もあり、
また、著者のイベントも多々あるので、それらを狙ってということもあるでしょう。
でも、会場内ですれ違う来場者たちの会話には、「この作家が好き」「この小説のこの表現が好き」といった声も聴かれ、心の底から本を楽しんでいるようでした。

今年のブックフェアのテーマは「믿을 구석/The Last Resort(最後に頼れるもの)」。
イ・スラやキム・チョヨプなどの人気作家や一般読者が、最後に頼る本、最後に頼る文章を紹介するブースもあり、本との新しい出会いに来場者たちも満足気。

大手出版社チャンビは「活字波動/私たちを揺るがす文学」という独自のテーマでブースを展開。
大きなパーテンションにカラフルな付箋が所狭しと貼られていました。
「私を揺るがす小説は〇〇だ」「私を揺るがす詩は〇〇だ」「私を揺るがす文章は〇〇だ」など、
「〇〇」の部分に本のタイトルや好きな文章を来場者が書き入れて貼ったものです。ちょうど私がそれを眺めていたとき、女子高生と思しき集団が楽しそうにおしゃべりしながら付箋を完成させていました。本を媒介に話を弾ませる、とてもいい光景でした。

冒頭のカナダの友人も出版社のブースからクリエーターのブースまでさまざまに楽しみ、なかでも京畿コンテンツ振興院のコーナーにあった坡州の書店のブースや、内田樹の書き下ろしの本を出版したユユ出版社などに目を輝かせていました。

チケット販売の問題点が明るみになったり、ソウル国際ブックフェアを株式会社化する動きもあったり、問題もいろいろ散見されますが、東京では開催されなくなった本の国際的なお祭りが、何日にもわたって盛大に行われてうらやましい限りです。
自分で購入した本や、頂戴した献本で来韓時よりはるかに重くなったキャリーバッグを引きずりながら、来年もまた来ようと思ったのでした。
(五十嵐真希)
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発行:一般社団法人 K-BOOK振興会

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