일기 日記 -ファン・ジョンウンエッセイ(일기-황정은 에세이)

原題
일기 日記
著者
ファン・ジョンウン
出版日
2021年10月18日
発行元
チャンビ
ISBN
9788936438586
ページ数
204頁
価格
14,000ウォン
ジャンル
エッセイ

●本書の概略

小説以外の文章はあまり書かないと言われる人気小説家ファン・ジョンウンの初エッセイ集である。
2020年4月から2021年8月までの時系列で、コロナ禍の韓国の様子、同居人と暮らすパジュ市での生活、読書で使う栞と紙の書籍に対するこだわり、毎年恒例にしているセウォル号引き揚げ地の木浦行きなどを綴った11編のエッセイが収められている。タイトルは『日記』だが、親しみやすいリアルタイムの日記の中に、作品活動へ大きな影響を与えた2009年の龍山事件、2014年のセウォル号沈没事故といった韓国社会を揺るがした出来事に関するエピソードが織り込まれている。「痕」の章では、顔の傷と親族による性被害といった幼少期の苦しい体験を書きつつも、終盤に同じような境遇の読者へ「あなたは悪くない」と語りかける。

●目次

日記
一年
ごめんと言わない
本と本棚の話を書こうとしたけれど
ミンヨサンの本棚
木浦行
散歩
クッキー日記
ワラビを干そうと

日記
作者あとがき

●日本でのアピールポイント

日本では既に5冊の訳書が出版されているファン・ジョンウンの初エッセイである。『野蛮なアリスさん』、『ディディの傘、』『年年歳歳』(著者について参照)など、邦訳された小説に関するエピソードが登場し、読んだことのある読者には作品を掘り下げる楽しみを、まだ読んでいない読者にはその作品を手に取るきっかけを与えてくれる。著者の小説は、経済格差や家父長制、家庭内暴力、セウォル号沈没事故といった社会の理不尽に翻弄される弱者に焦点を当てていることがひとつの特徴だ。本書には、これらのテーマに関連する著者の想いや実体験がいくつも登場する。著者が描く作品の背景を伺い知ることができるという点でも興味深い一冊だ。

ファン・ジョンウン
1976年ソウル生まれ。『続けてみます』(オ・ヨンア訳/晶文社/2020)で大山文学賞、『ディディの傘』(斎藤真理子訳/亜紀書房/2020)で萬海文学賞を受賞。他に韓国日報文学賞、若い作家賞など数々の賞を受賞。他の邦訳に『誰でもない』(斎藤真理子訳/晶文社/2018)、『野蛮なアリスさん』(斎藤真理子訳/河出書房新社/2018)、『年年歳歳』(斎藤真理子訳/河出書房新社/2022)がある。