『ロ・ギワンに会った』(チョ・ヘジン/著、浅田絵美/訳、新泉社)

『かけがえのない心』で初めて知ったチョ・ヘジン作家。『かけがえのない心』では海外養子や安楽死について、そして本作では脱北者が主役に。脱北した青年ロ・ギワンの足跡を辿りブリュッセルに向かう放送作家の「わたし」、そしてロ・ギワンを知る引退した医師、それぞれが失意と後悔から再生していく人びとの物語です。
翻訳者の浅田絵美さんから推薦のメッセージを頂戴しました。

また、浅田さんが翻訳にあたった思いを語ってくださった「K-BOOKらじお」は下記からお聞きいただけます。
約7年越しに翻訳するという思いが叶ったという浅田さんの本作に掛ける思いをぜひお聞きください。

 

デビュー以来、社会から背を向けられたり、帰属感のないままさまよう人びとの姿を見つめてきたチョ・ヘジンさん。「目には見えないその人の涙まで慈しみの心で紡ぐ」という彼女の信念が、本作の根底にも強く流れています。
単身ブリュッセルに流れ着いた脱北者の青年ロ・ギワンは、孤独や貧しさを抱えながらも「生き抜く」という覚悟一つで必死に日々を送る人物です。一方、自分を否定する日々を送っていた放送作家の女性キムは、週刊誌で出会ったギワンの言葉に導かれるように彼の足跡を辿る旅に出ました。失意と後悔の念を抱く二人は、ブリュッセルの街を歩きながら自らの過去と向き合うとともに、さまざまな出会いを通じて生きる意味を見いだしていきます。
本作を原作とした映画『ロ・ギワン』(ソン・ジュンギ主演)も2024年3月よりオンライン配信されます。小説と映画の両方で、登場人物たちの心の旅をともに歩んでいただけたら幸いです。(浅田絵美)

『ロ・ギワンに会った』(チョ・ヘジン/著、浅田絵美/訳、新泉社)