『インフルエンサーのママを告発します』(ジェ・ソンウン/作、チャ・サンミ/絵、渡辺奈緒子/訳、晶文社)

SNSが生活の中に密着に入り込む今、その使い方もある意味、難しい時代になりました。児童書である本書ですが、「SNSをつかうすべての人 必読のものがたり」と帯に書かれている通り、子どもだけではなく、オトナにとってももう一度そのSNSとのつながり方、使い方、活用の仕方をしっかりと学び直すための一冊でした。特にまだまだSNSに対して無防備である子どもたちには、それが時には人を傷つけたり、傷つけられたり、またある時には犯罪へとつながる可能性もあることもまた伝えるべきことだと、本書では語られています。また単にSNSとの関係だけではなく、本書では「家族」の在り方をも問いかけている点も子どもと一緒にオトナ世代にも読んで欲しい作品となっています。図書館等での配架が望まれる一冊ですね。

翻訳者の渡辺奈緒子さんから推薦のコメントを頂戴しました。

親が子どもの写真や情報をネットに公開してしまう「シェアレンティング」の危険性を12歳の子どもの目線から描いた、今の時代にぴったりのお話です。インフルエンサーのママがインスタ映えのために子どもに毛皮を着せる場面では、毛皮の倫理的な問題も扱われています。子どもたちに人権、肖像権、プライバシー、アニマルライツなどについて教えてくれるだけでなく、子どもたちを危険から守るべき大人に対しても大切なメッセ―ジを発しています。

『インフルエンサーのママを告発します』(ジェ・ソンウン/作、チャ・サンミ/絵、渡辺奈緒子/訳、晶文社)