教保文庫、12月の月間ベストと注目の新刊(韓国小説)

教保文庫の2023年12月の月間ベスト10と注目の新刊情報(韓国小説)をご紹介します。フランスの四大文学賞の一つ「メディシス賞」を受賞した『작별하지 않는다(別れは告げない)』が、前月に続き1位でした。その著者ハン・ガンの父親であるハン・スンウォンの新作長編小説も刊行されました。

1位:『작별하지 않는다(別れは告げない)』ハン・ガン著(文学トンネ/2021.9.9)
2位:『황금종이(黄金の紙) 1』チョ・ジョンネ著(ヘネム出版社/2023.11.21)
3位:『모순(矛盾)』(ハードカバー)梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2013.4.1)
4位:『불편한 편의점(不便なコンビニ)』(教保文庫単独 冬の贈り物エディション)キム・ホヨン著(ナムヨップウィジャ/2021.4.20)
5位:『구의 증명(クの証明)』チェ・ジニョン著(ウネンナム/2023.4.26)
6位:『메리골드 마음 세탁소(マリーゴールド 心の洗濯屋)』(30万部記念限定フラワーエディション)ユン・ジョンウン著(ブックロマンス/2023.3.6)
7位:『각각의 계절(それぞれの季節)』クォン・ヨソン著(文学トンネ/2023.5.7)
8位:『비가 오면 열리는 상점(雨が降ると開く店)』(ウィンターエディション)ユ・ヨングァン著(クレイハウス/2023.6.14)
9位:『불편한 편의점2(不便なコンビニ)』(紅葉エディション)キム・ホヨン著(ナムヨップウィジャ/2022.8.10)
10位:『아주 희미한 빛으로도(ほんのかすかな光でも)』チェ・ウニョン著(文学トンネ/2023.8.7)

注目の新刊は以下のとおりです。
『사람의 길(人の道)』韓勝源(ハン・スンウォン)著(文学トンネ/2023.12.29)
文壇デビューから50年以上、現代文学賞や李箱文学賞をはじめ多くの文学賞を受賞してきた韓勝源が、われわれはなぜ「人の道」を歩まねばならないのか、どのように歩んでいけるのかを探求します。著者の近年の邦訳本に『月光色のチマ』(井手俊作訳、書肆侃侃房)があります。

『분지의 두 여자(盆地の二人の女)』カン・ヨンスク著(ウネンナム/2023.12.31)
清掃業者ミンジュンは、公園に捨てられている赤ん坊を発見し連れ帰りますが、怖くなって病院に置き去りにして逃げます。一方、闇で代理母を斡旋するクリニックを訪ねる二人の女ジニョンとシャオ。ジニョンは犯罪で娘を失い、他人のために生命を誕生させることで自身の喪失を復元しようとします。夫の不和から家を出たシャオは残してきた娘のために金を稼ごうと代理母になる道を選びます。彼らの物語を通して、都市と人間の「生滅」の問題に多層的にアプローチします。邦訳本に『リナ』(吉川凪訳、現代企画室)『ライティングクラブ』(文茶影訳、現代企画室)があります。(文/牧野美加)