教保文庫、10月の月間ベストと注目の新刊(韓国小説)

教保文庫の2023年10月の月間ベスト10と注目の新刊情報(韓国小説)をご紹介します。チョン・セランさんの新作、歴史ミステリー長編小説の『ソル・ジャウン、金城に帰る』が出版されるやいなや話題になっています。注目の新刊はムン・ギョンミンの『守るべき世界』。

1位:『모순(矛盾)』(ハードカバー)梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2013.4.1)
2位:『구의 증명(クの証明)』チェ・ジニョン著(ウネンナム/2023.4.26)
3位:『비가 오면 열리는 상점(雨が降ると開く店)』ユ・ヨングァン著(クレイハウス/2023.6.14)
4位:『불편한 편의점2(不便なコンビニ)』(紅葉エディション)キム・ホヨン著(ナムヨップウィジャ/2022.8.10)
5位:『단 한 사람(たった一人)』チェ・ジニョン著(ハンギョレ出版社/2023.9.30)
「ホーム・スイート・ホーム」で今年の李箱文学賞大賞を受賞したチェ・ジニョンによる2年ぶり、8作目となる長編小説です。数千年を生きてきた木の力を借りて、死の危機に瀕した数多くの人間の中からたった一人の命を救える力を持つ15歳の主人公。生とは、死とは何か、人は人の救いになり得るのか、といった、著者が長年見つめてきたテーマに「寿命仲介」というファンタジー要素を加味した作品です。
6位:『아주 희미한 빛으로도(ほんのかすかな光でも)』チェ・ウニョン著(文学トンネ/2023.8.7)
7位:『푸틴을 죽이는 완벽한 방법(プーチンを殺す完璧な方法)』キム・ジンミョン著(イタブックス/2023.9.20)
8位:『불편한 편의점2(不便なコンビニ)』(紅葉エディション)キム・ホヨン著(ナムヨップウィジャ/2022.8.10)
9位:『설자은, 금성으로 돌아오다(ソル・ジャウン、金城に帰る)』チョン・セラン著(文学トンネ/2023.10.30)
幼いころに亡くなった兄の代わりに、男装をして唐に留学した宮廷書記のソル・ジャウン。新羅の首都金城に帰ったのち、百済人のモク・インゴンとともに謎の事件を解決し、王の目に留まります。7世紀を舞台に、チョン・セラン作家の文才が光る歴史ミステリー長編小説です。
10位:『메리골드 마음 세탁소(マリーゴールド 心のクリーニング屋)』ユン・ジョンウン著(ブックロマンス/2023.3.6)

注目の新刊・近刊は以下のとおりです。
『지켜야 할 세계(守るべき世界)』ムン・ギョンミン著(タサンチェッパン/2023.10.06)
魂一文学賞を受賞した長編小説。主人公のチョン・ユンオクは高校で国語を教えています。障害を抱える生徒に幼くして別れた弟の面影を見出し、その生徒のいるクラス担任に固執するため、周りからよく思われていません。定年間近でありながら、生徒や同僚との軋轢を繰り返していたある日、不慮の事故で亡くなります。彼の人生を遡るなかで、労働運動史にも触れ、人が守るべきものは何かを問いかけていきます。著者自身も小学校の教師であり、YA小説『フルフル』で文学トンネ青少年文学賞大賞、権正生(クォン・ジョンセン)文学賞を受賞したこともある、注目すべき作家です。(文/五十嵐真希)