教保文庫、10月の月間ベストと注目の新刊(韓国通信)

教保文庫の10月の月間ベスト10(国内小説)と注目の新刊情報をご紹介します。1位はキム・フンの歴史小説『ハルピン』、2位は刊行と同時に話題を集めたチョン・ジアの『父の解放日誌』です。日本でも人気のキム・ヘジンの新作長編も刊行されました。

1位:『하얼빈(ハルピン)』キム・フン著(文学トンネ/2022.8.3)
2位:『아버지의 해방일지(父の解放日誌)』チョン・ジア著(チャンビ/2022.9.2)
3位:『불편한 편의점(不便なコンビニ)』(40万部記念 桜エディション)キム・ホヨン著(ナムヨップウィジャ/2021.4.20)
4位:『불편한 편의점 2(不便なコンビニ2)』(紅葉エディション)キム・ホヨン著(ナムヨップウィジャ/2022.8.10)
5位:『작별인사(別れの挨拶)』(夜空エディション)キム・ヨンハ著(ポクポクソガ/2022.5.2)
6位:『이토록 평범한 미래(これほどまでに平凡な未来)』キム・ヨンス著(文学トンネ/2022.10.7)
7位:『어서 오세요, 휴남동 서점입니다(いらっしゃいませ、ヒュナム洞書店です)』(夏の森エディション)ファン・ボルム著(クレイハウス/2022.1.17)
8位:『아몬드(アーモンド)』(100万部記念特別版)ソン・ウォンピョン著(チャンビ/2022.5.12)
9位:『가녀장의 시대(家女長の時代)』イ・スラ著(イヤギジャンス/2022.10.7)
“「家父長」の「父」を「女」に入れ替えたら、興味深い秩序が誕生しました”。韓国に根深い家父長制に抵抗する一つの事例、代案になればとの思いで書いたという長編小説です。著者の邦訳には『日刊イ・スラ 私たちのあいだの話』(原田里美・宮里綾羽訳/朝日出版社)があります。
10位:『모순(矛盾)』(ハードカバー)梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2013.4.1)

注目の新刊、近刊は以下のとおりです。

『경청(傾聴)』キム・ヘジン著(民音社/2022.10.21)
『娘について』(古川綾子訳/亜紀書房)『中央駅』(生田美保訳/彩流社)『オビ―』(カン・バンファ、ユン・ブンミ訳/書肆侃侃房)などの邦訳があるキム・ヘジンの新作長編。社会から徹底的に遮断され、人生が止まってしまったある人物を主人公とする物語です。

『랑과 나의 사막(ランとわたしの砂漠)』チョン・ソンラン著(現代文学/2022.10/25)
『千個の青』(カン・バンファ訳/早川書房)の著者によるSF中編です。「戦争の時代」に作られ、機能が停止した状態で砂漠に埋もれていたロボット「ココ」と、ココに生命を与えた人間「ラン」の物語です。

『이중 작가 초롱(二重作家チョロン)』イ・ミサン著(文学トンネ/2022.11.8)
若い作家賞(2019年)を受賞したデビュー作「確かに」や、重い問いの中にもユーモアが光ると評された表題作など全8編を収録した著者初の小説集です。デビュー作が若い作家賞を受賞するのはチェ・ウニョン「ショウコの微笑」以来のことと、注目を集めました。(文/牧野美加)。