教保文庫、5月の月間ベストと注目の新刊(韓国小説)

教保文庫の2024年5月の月間ベスト10と注目の新刊情報(韓国小説)をご紹介します。ロングセラー作品に加え、文学賞受賞作品やドラマの原作小説など、話題性のある作品が目立つランキングとなりました。注目の新刊では今月9位にランクインした、ドラマの原作で話題の作家キム・パンの最新作を取り上げています。
1位:『모순(矛盾)』(ハードカバー)梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2013.4.1)
2位:『나의 돈키호테(私のドンキホーテ)』キム・ホヨン著(ナムヨプウィジャ/2024.4.25)
3位:『2024제15회 젊은작가상 수상작품집(2024第15回若い作家賞受賞作品集)』キム・メルラ他著(文学トンネ/2024/3.31)
4位:『구의 증명(クの証明)』チェ・ジニョン著(ウネンナム/2023.4.26)
5位:『불편한 편의점(不便なコンビニ)』(桜エディション)キム・ホヨン著(ナムヨプウィジャ/2021.4.20)
6位:『철도원 삼대(鉄道員三代)』ファン・ソギョン著(チャンビ/2020.6.5)
7位:『파과(破果)』ク・ビョンモ著(ウィズダムハウス/2018.4.16)
8位:『홍학의 자리(紅鶴の場所)』チョン・ヘヨン著(エリクシル/2021.7.26)
9位:『내일의 으뜸(明日の一番)』キム・パン著(タヒャン/2020.7.17)
現在配信中の人気ドラマ「선재 업고 튀어(ソンジェ背負って走れ)」の原作小説です。
10位:『어서 오세요,휴남동 서점입니다(ようこそ、ヒュナム洞書店へ)』ファン・ボルム著(クレイハウス/2022.1.17)
累計30万部を突破し、邦訳版(牧野美加訳/集英社/023.9.26)が2024年本屋大賞翻訳小説部門で第一位を獲得しました。日本での受賞の他、イギリス、アメリカ等でも続々と翻訳版が刊行され海外でも反響を呼んでいることから再び話題となっています。

注目の新刊は以下のとおりです。

『21세기 마지막 첫사랑(21世紀最後の初恋)』キム・パン著(ジャイアントブックス/2024.5.16)
今月9位にランクインした『내일의 으뜸(明日の一番/タヒャン/2020/未邦訳)』の著者キン・パンの新作長編小説です。2107年に生きる少年ヤンウは、ある日忽然と姿を消した唯一の友であり人工知能の「パダ」を取り戻すため、2004年の世界にタイムトラベルします。そこで偶然出会った少女ミョンウォンと「パダ」を探しながら空っぽだった心を満たし、元の世界に戻るまでのひと夏を描いた青春ラブストーリーです。

『두 사람의 인터내셔널(2人のインターナショナル)』キム・ギテ著(文学トンネ/2024.5.15)
どんな読者も作品の中に自らを発見できるリアリズムが魅力と評され、デビュー依頼話題を集めてきた詩人、キム・ギテの初の短編集です。生徒主導の新しい教育政策を背景に2020年代の教育現場に広がる努力と無力感を描いて2024若い作家賞を受賞した「보편 교양(普遍の教養)」をはじめ、李箱(イサン)文学賞優秀賞受賞作2編、SNSでも注目の表題作「두 사람의 인터내셔널(2人のインターナショナル)」を含む8つの短編小説が収められています。(文/高上由賀)