自分として生きる覚悟(나로 살 결심)

原題
나로 살 결심
著者
ムン・ユソク
出版日
2025年11月14日
発行元
文学トンネ
ISBN
9791141613990
ページ数
244ページ
定価
17,500ウォン
分野
エッセイ

●本の概要

『ハンムラビ法廷』『悪魔判事』など法廷ドラマの脚本を手掛けた作家ムン・ユソクの新作エッセイ。現在作家として第二の人生を歩んでいる著者は、23年間、判事として職務を全うするが、組織の中では幸せではないと感じるようになる。悩んだ末に法曹界を去り、幼い頃から思い描いてきた「物語を書きたい」という夢を実現させるために作家となって第二の人生を歩み始めた。新しい道がもたらす不安を抱えながらも、これまでの歩みや思いを正直に語っている。

●目次

プロローグ 個人主義者を宣言してから10年
1部 最初の人生との別れ
2部 だれもがもっともらしい計画を持っている
3部 魅力的な誤答を描く人生
エピローグ 人生は続いていく

●日本でのアピールポイント

「異議あり!」「その質問は誘導尋問です」などのセリフが飛び交う裁判シーンは法廷ドラマでよく見かけますが、フィクションであっても裁判の行方が気になってドラマに没頭してしまうものです。このエッセイを書いた著者は、裁判に携わる判事というキャリアを経て、現在は法廷ドラマの脚本を中心に執筆活動をしています。判事から作家という全く異なるキャリアを持つ彼は、幼少の頃から小説、ドラマ、映画などの物語が大好きで、自分をストーリー中毒と断言するほどです。ではどうして判事に? またその後、なぜ堅実な仕事を辞めた? そんな読者の抱く疑問にひとつひとつ答えていくように展開するので、読者はどんどん本の内容に引き込まれていきます。判事時代、著者はあることがきっかけで新人判事の成長を描く『ハンムラビ法廷』の脚本を書くことになりますが、その経験が今のキャリアに繋がっていることがよく分かります。
エッセイの前半は、判事の日常生活、同僚たちと連日残業しながら職務に全うしてきたことなど、経験者ならではエピソードが綴られています。その後、法院行政処(日本でいう最高裁の直属の行政機関に当たる)に配属されたことをきっかけに古い組織風土を変えようと奮闘しますが、自分の行動が空回りしていたことを冷静に振り返ります。
後半は、作家に転向した頃の苦労話、厳しい制作費のことなど、ドラマ作りの裏側を語っていますが、内容はリアルで興味深いです。著者が自分という人間を分析しながら、それぞれのテーマに関して深い考察ができるのは、判事というキャリアでの豊富な経験が影響しているからだと思われます。

(作成:長谷美香)

ムン・ユソク
1997から23年間判事として勤め、2020年に法曹界を去る。 コラム「全国の部長さんたちに敢えて申し上げること」で国民から多くの共感を得た。 ドラマ『ハンムラビ法廷』『悪魔判事』『プロボノ』の脚本を執筆。 現在は作家として活動しながらドラマの脚本制作に邁進中。 韓国で出版された著書に『個人主義者宣言』『最小限の善意』『判事の遺憾』『ハンムラビ法廷』『快楽読書』がある。