悪は誠実だ(악은 성실하다)

原題
악은 성실하다
著者
イ・ジフン
出版日
2025年7月30日
発行元
ダサンチェクバン
ISBN
9791130668581
ページ数
319頁
定価
18,000ウォン
分野
エッセイ

●本書の概略

フィリピン・アンヘレス最初のコリアンデスクの警察、イ・ジフンのエッセイ。海外警察組織に派遣され韓国人対象犯罪捜査、犯罪者の逃避防止、海外在住韓国人の安全を図るコリアンデスクとしてフィリピン最悪の犯罪都市と呼ばれる都市に派遣された著者の2年間の生々しい記録の本である。本で紹介されたエピソードの「Who is Mr. Park?(朴氏は誰だ?)」「サトウキビ畑殺人事件」はDisney+で放送された韓国ドラマ『カジノ』でも題材として扱われた。
毎日に手が届くところに拳銃を置いて浅い睡眠を取っていた著者2年間は、著者一人だけでは多くの事件を解決できなかっただろう。現地警察、国際刑事警察機構(インターポール)のメンバーやフィリピン在住の韓国人そして韓国にいる警察と連携して犯罪者を探していく中で著者は生と死について、正義について、また犯罪者たちの緻密さや汚さについて考察する。現地のたった一人の韓国人警察として毎日起きてくる犯罪の輪を絶つために活動した彼の話は息を飲むようなサスペンスや痛快なカタルシスを感じさせる。

●目次

・プロローグ:国境を越えて、警察という名前で
・事件簿01:不法と銃声が満ちたところへ
・事件簿02:コリアンデスクの誕生
・事件簿03:生と死、そのどこか
・事件簿04:残されたもの
・エピローグ:人生とは有限のゆえ
・事件付録:ドラマ『カジノ』ビハインド

●日本でのアピールポイント

本書は、フィリピン・アンヘレス唯一のコリアンデスクとして2年間勤務した著者の奮闘ストーリが書かれている。あらゆる犯罪が日常化している地域で、著者が直接経験した事件は読む人にとって普通のノンフィクションを越える緊迫感と没入感を与える。また、人気ドラマ『カジノ』のアドバイザーとして参加した著者の2年間の事件記録は、ドラマのファンに原作のエピソードをもっと深く楽しめる機会を提供すると思う。
日本でも、正義とは何か、生きることとは何か、そして人と人がどう関わるべきか――こうしたテーマは文学や映画、ノンフィクションなど多くの作品で描かれてきた。しかし、この本はそれらを「実体験」として提示している点で他の作品と大きく異なる。理論ではなく、著者が血肉で感じ考え抜いたリアルな問いであるため、読者が自分ごととして受け取りやすい。
さらに、著者の葛藤や成長の物語は、仕事や人間関係、日々の選択の中で悩む現代人にとって、自己と向き合うヒントや勇気を与える一冊にもなる。

(作成:ジョン・ジミン)

イ・ジフン
 東国大学警察行政学科を卒業し、同大学警察司法大学院で修士号を取得した。第58回警察幹部候補生試験に合格し警察生活を始め、2015年フィリピン・アンヘレスのコリアンデスクに派遣された。2017年コリアンデスク活動が終了して帰国し、韓国警察庁の国際刑事警察機構・国際共助課に勤めながら195か国の機構会員国と国際共助捜査を続けた。この功績で多数の表彰を取り、2023年には国務総理が表彰した模範公務員賞を受賞した。