『ふるかな ふるかな?』(キム・ジョンソン /作、せなあいこ/訳、評論社)

6月に入り、そろそろ梅雨入りの声が聞かれるこの季節にピッタリの絵本が登場しました。キム・ジョンソン作、せなあいこ訳の『ふるかな ふるかな?』です。
女の子と愛犬は、雨が降ってくるのが待ちきれない様子。黄色いレインコートに、黄色の長靴、そして黄色の傘を持って、空を眺めています。でもなかなか雨は落ちてきません。諦めて家に入ろうとすると…
最後のページにハッとさせられて、思わずフフフっと笑みがこぼれました。
翻訳を担当された、せなあいこさんからのメッセージも合わせてご紹介します。

なんて愛らしい絵なんだろう!……と目を離せなくなってしまったのが、この絵本との出会いです。女の子とワンちゃんが空を見上げている表紙、雨がふってくるのを待ち望み、ふってきたら全力で雨を楽しむ姿。ただ「雨がふる」というだけで、こんなに心がはずむなんて素敵です。
作者のキム・ジョンソンさんは、視覚デザインを学ばれた方で、カバーに透明な雨粒の加工があるのも、韓国の原書と同じ仕様です。そ
して、こんなにも待たれていた雨が実は……という最後のページのオチがまた、温かい思いを運んでくれます。本を開くたび、やさしい気持ちでいっぱいになる一冊です。

『ふるかな ふるかな?』(キム・ジョンソン /作、せなあいこ/訳、評論社)