韓国ドラマを見る楽しみのひとつに食事のシーンがあります。食卓いっぱいに並ぶおかず、ステンレススチールの器に盛られた白飯と汁物、そして匙と箸。これを食べなさい、あれもおいしいわよとおかずをシェアする、にぎやかな食事の場面。韓国では日常の一コマですが、日本とは異なる食卓の光景に興味津々になります。『[図説]韓国 食卓の文化史』では、こうした食卓の文化がどのような歴史を経てつくられていったのかを、日本や中国、欧米諸国と比較しながら語ります。歴史だけではなく、食卓に潜む社会の問題にも視点を向けていて固定観念を考え直すきっかけにもなります。第1章のタイトルが「どうして履物を脱ぎ、部屋に上がって食事をするのだろうか」、第2章が「どうしてあぐらをかいて食事をするのだろうか」というように、すべての章のタイトルが疑問形です。絵図や写真も多くあってとても分厚いですが、自分の興味に沿って気軽に、そしてじっくり楽しめる作品です。訳者の金知子さんと高上由賀さんから推薦のメッセージを頂戴しました。
ステンレスの器にご飯を盛ったり、葉っぱで肉を包んで食べたりする韓国の食事風景を不思議に感じたことはありませんか? 本書は、そんな韓国の「食べ方」に注目した、ユニークで知的な一冊です。歴史学者であり、韓国を代表する食の人文学者でもある著者が、豊富な史料をもとにそのルーツと変遷を丁寧にひもといていきます。
たとえば、「なぜあぐらをかいて食事をするのか?」「なぜスプーンでご飯を食べるのか?」「なぜ食後にコーヒーを飲む習慣が根付いたのか?」など、思わず知りたくなるエピソードが満載です。著者の解説に「なるほど! そうだったのか!」とうなずきながら、身近な「食べる」という行為の裏側に、文化的な脈絡や意外な歴史の流れが潜んでいることにも気づかされるでしょう。
さらに、世界各地の食習慣にも触れつつ、韓国の食文化・歴史・暮らしの深層へと迫る本書は、読み手の視野をぐっと広げてくれます。読み終える頃には、いつもの食卓が少しだけ違って見えるかもしれません。何より、韓国料理を味わうひとときが、これまで以上に楽しく感じられる一冊です。ぜひ、お手に取っていただければ嬉しいです。(金知子・高上由賀)
『[図説]韓国 食卓の文化史』(チュ・ヨンハ 著 /金知子、高上由賀訳/丁田隆 監訳 /原書房)

