
教保文庫の3月のエッセイ月間ベスト10と注目の新刊情報をご紹介します。作家のユ・シミンによる口述自叙伝が1位に、韓国サッカーの名将と呼ばれるイ・ジョンヒョのエッセイが6位にランクインしました。注目の新刊では、昨年に邦訳書が出版された『声を出して、呼びかけて、話せばいいの』の原著と、がん治療に携わってきた医師によるエッセイを紹介しています。
1位:『사랑이 있으니 살아집디다(愛があるから生きていけます)』ユ・シミン、キム・セラ著、4.9統一平和財団編(ウンピッ/2026.03.25)
韓国の言論界をリードするユ・シミンが、ある女性の生涯を聞き取って綴った口述自叙伝です。その女性とは、朴正煕政権による民主化運動弾圧によって死刑に処された禹洪善の妻・姜順熙。「私の人生が、わが国の歴史、朝鮮の歴史なのです。この苦難の道のりを人々に伝えることが私の人生最後の使命だと思ってきました」という言葉と共に、姜順熙という女性の生涯を通して激動の近現代韓国史が浮かび上がります。
2位:『행복할 거야 이래도 되나 싶을 정도로(幸せになれるはず、不安になるほどに)(10万部記念教保文庫単独リカバー)』イルホン(ブクロム/2024.07.29)
3位:『일본 광고 카피 도감(日本の広告コピー図鑑)』オ・ハリム(ソギョチェッパン/2026.01.14)
4位:『너를 아끼며 살아라(君を大切にしながら生きて)』ナ・テジュ(ダブルブック/2025.06.12)
5位:『불안(不安)』アラン・ド・ボトン著、チョン・ヨンモク訳(2012.01.04、初版:2011.12.28/ウネンナム)
6位:『정답은 있다(正解はある)』イ・ジョンヒョ(ダサンブックス/2026.02.23)
韓国サッカーの名将と呼ばれる著者が、「正解」を追い求めた末に得た勝負哲学を綴ったエッセイです。各章には「水滴穿石」「以聴得心」「陰徳陽報」のタイトルがつけられ、仕事と人生への向き合い方やリーダーとしての姿勢についての具体的なメッセージが詰まっています。「サッカーの外にいる人たち、あまりサッカーを観ない人たちにも役立てば」という著者の言葉どおり、どんな問いにも「正解はある」と思わせてくれる一冊です。
7位:『구원에게(救いへ)』チョン・ヨンウク(ブクロム/2026.02.05)
8位:『어른의 행복은 조용하다(大人の幸せは静かだ)』テス(ページ2ブックス/2024.11.04)
9位:『다크 심리학: 연애의 법칙(ダーク心理学:恋愛の法則)』ダーク・マインド(ダークマインドブックス/2026.01.28)
著者は、YouTubeやインスタグラムなどさまざまなプラットフォームを通じて人々の心理に迫るダーク心理学の専門家です。本書は恋愛時の心理にスポットを当て、その構造を解き明かし、自分の恋愛を見つめ直す視点を提示します。いつも同じ問題を繰り返してしまう人、相手の反応に振り回されて自分を消耗し続けてきた人などにおすすめです。
10位:『기분이 태도가 되지 않게(헬로키티 에디션)(気分が態度にならないように(ハローキティエディション))』レモン心理著、パク・ヨンラン訳(ガレオン/2025.11.12)
注目の新刊
『엄마와 딸들의 미친년의 역사(母と娘たちの狂女の歴史)』イ・ラン(イヤギジャンス/2026.03.12)
多彩なアーティスト、イ・ランが姉の死や壮絶な家族の話を記したエッセイです。昨年9月には一足先に邦訳書『声を出して、呼びかけて、話せばいいの』(斎藤真理子、浜辺ふう訳、河出書房新社)が出版されました。
『암을 치료한다고 했습니다(큰글자책)(がんを治療すると言いました)(大活字本)』カン・ジニョン(青年医師/2026.04.01)
がん治療に携わって35年。定年を控えた著者は「治療すると言ってきたけれど、何ができたのだろうか」と自問します。本書は、がんを患いながらも他者の痛みに目を向けていた人や最期の瞬間まで人間らしさを失わなかった人など、著者が治療の過程で出会った患者の姿から、「生きるとは何か」という問いを投げかけるエッセイです。(文/金知子)
