
教保文庫の2025年10月の月間ベスト10と注目の新刊情報(韓国小説)をご紹介します。ク・ビョンモの快進撃が目を引くなか、感性豊かで人間味あふれるSF作家として日本でも人気を博しているチョン・ソンランの新作が初登場で8位にランクインしました。注目の新作では、青少年向けの青春小説から非武装地帯を背景にした社会派小説まで、幅広い作品を取り上げました。
1位:『절창(切創)』ク・ビョンモ著(文学トンネ/2025.9.17)
2位:『모순(矛盾)』(ハードカバー)梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2013.4.1)
3位:『혼모노(ホンモノ)』ソン・ヘナ著(チャンビ/2025.3.28)
4位:『자몽살구클럽(チャモンサルグクラブ/グレープフルーツアプリコットクラブ)』ハンロロ著(オーセンティック/2025.7.25)
5位:『소년이 온다(少年が来る)』ハン・ガン著(チャンビ/2014.5.19)邦訳版『少年が来る』(井出俊作訳/クオン)
6位:『급류(急流)』チョン・デゴン著(民音社/2022.12.22)
7位:『나는 소망한다 내게 금지된 것을(私は望む 私に禁止されたことを)』梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2019.4.20)
8位:『아무도 오지 않는 곳에서』(誰も来ない場所で)』チョン・ソンラン著(ハブル/2025.10.27) ゾンビ災厄下の世界で、社会の周縁に生きる人々の愛と生存を描いたSF三部作。家庭内暴力被害者保護施設出身のカップル、植物状態の母をもつ少女、ゾンビ化した同性カップル……ゾンビウイルスという大災厄の前から人生そのものがサバイバルだった彼らは、「滅亡」後の世界でもなお力強く生き抜いていく。
9位:『채식주의자(菜食主義者)』ハン・ガン著(チャンビ/2022.3.28)邦訳版『菜食主義者』(きむふな訳/クオン)
10位:『안녕이라 그랬어(アンニョン、と言った)』キム・エラン著(文学トンネ/2025.6.20)
注目の新刊は以下のとおりです。
『앤솔러지 한강(アンソロジー 漢江)』チャン・ガンミョン、チョン・ヘヨン他著(ブッダ/2025.10.27)
ホラー、ファンタジー、ヒューマンドラマなど、ジャンルを超えて活躍する7人の作家が、ソウルの象徴・漢江を舞台に描いた短編集です。チャン・ガンミョンの「漢江の人魚とニシンたち」は、人魚たちの縄張りに侵入する外来種・ニシンとの対立を通じて、現代社会の分断と共存を寓話的に描いた一作です。
『디엠지 나이트(DMZナイト)』ペク・クムナム著(ピープルウォッチ/2025.10.27)
朝鮮半島を、一つの体に二つの頭をもつ“二頭竜”にたとえ、非武装地帯(DMZ)を舞台に、命懸けで闘う男たちの姿を通して韓国社会の深層に迫る長編小説です。著者は1980年代から活躍する作家で、韓国では文学性と大衆性を兼ね備えた語り手として高く評価されています。15世紀の朝鮮王朝を舞台にした代表作『観相』は映画化され(邦題『観相師』)、大きな話題を呼びました。
『미래가 보이는 일기장(未来が見える日記帳)』コ・ヘウォン著(ダイブ/2025.10.22)
K-ストーリー公募展で大賞を受賞した作家の新作で、海外翻訳や映像化も期待される青少年向けの小説。主人公の少女イェウンが亡き祖父の戸棚から見つけたのは日付を書くだけで未来の出来事が自動的に記される不思議な日記帳。その日記帳で14日後に自分がこの世を去ることを知ったイェウンは、未来を変えるために行動を開始します。運命に抗いながら生きる意味を問い直す、青春の物語です。(文/高上由賀)
