
教保文庫の2025年7月の月間ベスト10と注目の新刊情報(韓国小説)をご紹介します。1位は先月に引き続きソン・ヘナの短編小説集『ホンモノ』でした。注目の新刊では、シンガーソングライターのハンロロが自身の3rdアルバムと連動させて執筆した小説集や、詩人アン・ドヒョンの新作を紹介しています。
1位:『혼모노(ホンモノ)』ソン・ヘナ著(チャンビ/2025.3.28)
2位:『안녕이라 그랬어(アンニョン、と言った)』キム・エラン著(文学トンネ/2025.6.20)
3位:『모순(矛盾)』(ハードカバー)梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2013.4.1)
4位:『급류(急流)』チョン・デゴン著(民音社/2022.12.22)
5位:『첫 여름, 완주 | 듣는 소설 1(初夏、ワンジュ|聞く小説1)』キム・グミ著(ムジェ/2025.05.08)
6位:『소년이 온다(少年が来る)』ハン・ガン著(チャンビ/2014.5.19)邦訳版『少年が来る』(井出俊作訳/クオン)
7位:『홍학의 자리(紅鶴の場所)』チョン・ヘヨン著(エリクシル/2021.7.26)
8位:『구의 증명(クの証明)』(リカバリー版)チェ・ジニョン著(ウネンナム/2023.4.26)
9位:『채식주의자(菜食主義者)』ハン・ガン著(チャンビ/2022.3.28)邦訳版『菜食主義者』(きむふな訳/クオン)
10位:『나는 소망한다 내게 금지된 것을(私は望む 私に禁止されたことを)』梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2019.4.20)
注目の新刊は以下のとおりです。
『자몽살구클럽(チャモンサルグクラブ)(グレープフルーツアプリコットクラブ)』ハンロロ著(オーセンティック/2025.7.25)
シンガーソングライター、ハンロロによる3rd EPアルバムに呼応する短編小説集です。デビュー以来、社会の影に生きる若者たちの物語を音楽で描いてきたハンロロが、音楽では伝えきれない若者の心の声を文字で紡いだ作品で、過酷な人生に行き詰まった4人の若者が秘密クラブ「チャモンサルグクラブ」で出会い、互いの存在に生きる意味を見出していく物語です。タイトル中の「サルグ」は韓国語で「アプリコット」と「生きる」という2重の意味をもっています。
『판탈롱 나팔바지 이야기(パンタロン ラッパズボン物語)』アン・ドヒョン著(モルゲ/2025.7.25)
朝鮮戦争や離婚などの苦難を乗り越え、日本の文化服装学院に留学。優秀な成績をおさめて渡仏し、ピエール・カルダンのもとで学んだのち、韓国に帰国。パンタロンを韓国に広めるなど第1世代デザイナーとして活躍したジョセフィン・ジョー(趙瓊姫)。彼女の波瀾万丈の人生を基に脚色を加え、ファッションと人生哲学について綴った物語。小説のような詩のような、散文と韻文が織りなす味わい深い作品です。
『초록 땀(緑の汗)』キム・ファジン他著(作家精神/2025.8.5)
キム・ファジン、ムン・ジヨン、イ・ソス、コン・ヒョンジン、キム・ヒソン、キム・サグァの6人の作家が「色」と「香り」をテーマに、短編小説とエッセイ1編を書き下ろした「小説+エッセイ」の作品集です。表題作「緑の汗」は、緑色の汗をかく人物を通して「異質さ」が拒絶ではなく、むしろ他者とつながるための接点になり得る可能性が描かれています。6人の作家のうち、イ・ソスは『ヘルプ・ミー・シスター』(古川綾子訳/アストラハウス/2024)で邦訳が刊行されています。(文/高上由賀、五十嵐真希)
