教保文庫、6月の月間ベストと注目の新刊(韓国小説)

教保文庫の2025年6月の月間ベスト10と注目の新刊情報(韓国小説)をご紹介します。ハン・ガンのノーベル文学賞受賞をきっかけに過去の名作を求める動きが続いていましたが、久しぶりに今年生まれた新しい作品が1位に輝きました。注目の新刊では、20か国以上で翻訳出版されK-ヒーリング小説ブームを牽引したユン・ジョンウンの『マリーゴールド』シリーズの完結編を取り上げています。

1位:『혼모노(ホンモノ)』ソン・ヘナ著(チャンビ/2025.3.28)
2位:『첫 여름, 완주 | 듣는 소설 1(初夏、ワンジュ|聞く小説1)』キム・グミ著(ムジェ/2025.05.08)
3位:『모순(矛盾)』(ハードカバー)梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2013.4.1)
4位:『소년이 온다(少年が来る)』ハン・ガン著(チャンビ/2014.5.19)邦訳版『少年が来る』(井出俊作訳/クオン)
5位:『급류(急流)』チョン・デゴン著(民音社/2022.12.22)
6位:『안녕이라 그랬어(アンニョン、と言った)』キム・エラン著(文学トンネ/2025.6.20)
7位:『홍학의 자리(紅鶴の場所)』チョン・ヘヨン著(エリクシル/2021.7.26)
8位:『채식주의자(菜食主義者)』ハン・ガン著(チャンビ/2022.3.28)邦訳版『菜食主義者』(きむふな訳/クオン)
9位:『나는 소망한다 내게 금지된 것을(私は望む 私に禁止されたことを)』梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2019.4.20)
10位:『파과(破果)』ク・ビョンモ著(ウィズダムハウス/2018.4.16)

注目の新刊は以下のとおりです。
『매듭의 끝(結び目の先)』チョン・ヘヨン著(現代文学/2025.5.28)
『홍학의 자리(紅鶴の場所)』が長くランクインしているチョン・ヘヨンの新作長編小説。父の不審な死の容疑者として長年にわたり母を疑い続けている刑事イ・イヌ。息子を絶対に殺人犯にはさせないという強い信念を持ち、「人生の目標は息子の成長のみ」と語る、たたき上げの実業家パク・ヒスク。二組の母子を中心に過去と現在の殺人事件が複雑に絡み合いながら展開する、母性がテーマの心理ミステリーです。

『메리골드 마음 식물원(マリーゴールド町 心の植物園)』ユン・ジョンウン著(ブックロマンス/2025.6.18)
世界17言語に翻訳され、20か国以上で出版された『マリーゴールド町 心の洗濯屋さん』(藤田麗子訳/扶桑社、2024年)。シリーズ第3作にして完結編となる1冊です。第1作『心の洗濯屋さん』では、消してしまいたい心のシミを洗い流し、第2作『心の写真館』では、見過ごしていた幸せの瞬間を写真に写して人々を癒しました。完結作『心の植物園』では、深い痛みや悲しみをみずみずしいグリーンや花として咲かせ、依頼者を新たな成長へと導きます。

『여름은 고작 계절(夏はただの季節)』キム・ソヘ著(ウィズダムハウス/2025.6.25)
2000年代、IMF金融危機の影響で両親が職を失い、家族とともにアメリカへ移住することになった10歳のジェニ。東洋人移民として壁を感じるなかで、ジェニは必死に英語を叩きこんで周囲に溶け込もうとしていました。そんなある日、韓国からハンナという少女が新たに移住してきます。ハンナはジェニとは対照的に、仲間外れにされても決して自分を変えることなく、ありのままの姿で生きようとしていました。(文/高上由賀)