教保文庫、2月の月間ベストと注目の新刊(韓国小説)

教保文庫の2026年2月の月間ベスト10および注目の新刊(韓国小説)をご紹介します。昨年7月の発売以来ベスト10を維持してきた『자몽살구클럽(チャモンサルグクラブ/グレープフルーツアプリコットクラブ)』が、ついにランキング1位を獲得しました。映画化によって再び注目を集めているパク・ミンギュのロングセラー小説も8位にランクインしています。注目の新刊では『ブロッコリーパンチ』と『ウエハース君』の翻訳刊行により日本でも注目を集めているイ・ユリの長編小説やベストセラー作家による歴史小説などを取り上げています。

1位:『자몽살구클럽(チャモンサルグクラブ/グレープフルーツアプリコットクラブ)』ハンロロ著(オーセンティック/2025.7.25)
2位:『나의 완벽한 장례식(私の完璧なお葬式)』チョ・ヒョンソン著(ブックロマンス/2026.1.21)
3位:『모순(矛盾)』梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2013.4.1)
4位:『혼모노(ホンモノ)』ソン・ヘナ著(チャンビ/2025.3.28)
5位:『안녕이라 그랬어(アンニョン、と言った)』キム・エラン著(文学トンネ/2025.6.20)
6位:『급류(急流)』チョン・デゴン著(民音社/2022.12.22)
7位『내 심장을 쏴라 개정판(俺の心臓を撃て 改訂版)』チョン・ユジョン著/ウネンナム/2026.2.6
8位:『죽은 왕녀를 위한 파반느 양장 특별판(亡き王女のためのパヴァーヌ ハードカバー特別版)』パク・ミンギュ著(ウィズダムハウス/2025.11.19)
2026年2月公開のNetflixオリジナル映画『パヴァーヌ』の原作小説。ロングセラーとして愛されてきた本作は、この世界にどこか馴染めない3人の男女が、それぞれの過去と現在、そして「生き続けること」の軌跡を描く、魂の喪失と再生の物語です。改訂版となる本書には、3人の17年後を描いたエピソードが新たに収録されています。改訂前の版は既に邦訳があり(吉原育子訳/クオン/2015)、日本語で読むことができます。
9位:『절창(切創)』ク・ビョンモ著(文学トンネ/2025.9.17)
10位:『나는 소망한다 내게 금지된 것을(私は望む 私に禁止されたことを)』梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2019.4.20)

注目の新刊は以下のとおりです。
『구름 사람들(雲の人々)』イ・ユリ著/文学トンネ/2026.2.20
町がついに人口降雨剤を使用するという噂が流れ始めている。雲が溶けて雨になれば、雲に住む私たちはピンク色の雨水とともに1.5km下へ落ちていく。家も生活も体も、すべてが崩れ、泥のように溶けてしまうだろう――。汚染物質でできたピンク色の雲の上で暮らす人々と、地上で生きる人々を描き、格差に真正面から向き合う物語。優しさとユーモアあふれる短編『ブロッコリーパンチ』(山口さやか訳/リトルモア/2025)や『ウエハース君』(渡辺麻土香訳/晶文社/2025)で唯一無二のSFと称されている著者が、「これまで書いた作品の中でもっとも長く、悲しく、重い物語」と語る長編小説です。

『한 사람에게(ひとりのあなたへ)』キム・メラ他著/コッカン/2026.2.28
国際環境団体グリーンピースと出版社コッカンの共催企画によるアンソロジー。『わたしを夢に見てください』(吉良佳奈江訳/花伝社/2025)のキム・メラ、『どれほど似ているか』(斉藤真理子訳/河出書房新社/2023)のキム・ボヨン、『さすらう地』(岡裕美訳/新泉社/2022)のキム・スム、『影犬は時間の約束を破らない』(斉藤真理子訳/河出書房新社/2025)のパク・ソルメ、そして、消えゆく場所の記憶を静かにすくい上げる作家チョン・ヨンソン。日本でも紹介の進む韓国文学を代表する5人が、あなたという一人の読者へおくる物語。気候危機の時代に、消えゆく存在への祈りとかすかな希望の芽生えを、それぞれのかたちで紡ぎ出します。

『세종의 나라 1、2(世宗の国 上・下)』キム・ジンミョン/イタブックス/2026.2.24
「民を顧みない国は、もはや国ではない」。思考さえも中国に従属させられた時代、世宗大王が固有の文字「訓民正音」を創製するまでの知られざる闘いを、数々のベストセラーを生み出してきたキム・ジンミョンが、事実とフィクションを織り交ぜて鮮やかに描き出した長編歴史小説です。(文/高上由賀)