●本書の概略
誰しも光と影を同時にもっている。そしてその影の部分を認め、少しでも良い方向に向かおうとする気持ちが大切なのではないかーー本書は青少年向け小説のベストセラー作家キム・ハヨンが張り詰めた緊張感のなか描く、推理小説の姿をした若者たちの成長の物語である。
オンライン上で開催されてきた古典小説の読書サークル『ザ・クラシック』初のオフ会の日。主催者であるヒョンスの祖母の別荘に、明るくおしゃべり好きなハンビョル、本書の語り手であるユジョン、優等生タイプのヒョンスと少し斜に構えた感じのジュウォン、そして学校でいじめにあっているウンソの順にメンバーが到着する。高校生である彼らは少しずつ交流を深めていくが、それぞれの推し小説の中からユジョン以外のメンバーの隠し事を告発する手紙が発見される。犯人探しでその場の雰囲気は一変し、結局『ザ・クラシック』は解散。メンバーは二度と連絡を取り合わないことを決めて帰路につく。一年後、大学生となったユジョンはあるヒントをもとに手紙を入れた犯人を探し当てる。なんとそれはウンソのふりをして別荘に潜り込んだ全くの別人ジェヨンだったのだ。彼女はもう一度別荘に集まった皆の前で、自分がジュウォンの起こした無免許運転事件で同乗していたスホのいとこで、ジュウォンへの恨みから手紙を入れたと告白する。しかし、一年前の出来事のあと、ハンビョル、ヒョンス、ジュウォンは自らの過ちと向き合い、変わっていこうと努力していたのだ。そして手紙がなかったユジョンも。最後に鳴った呼び鈴の音。玄関にいたのは本物のウンソだった。
●目次
・プロローグ
・はじめの手紙、二番目の手紙
・三番目の手紙、四番目の手紙
・誰かが嘘をついている
・一年後
・二度目の集会
●日本でのアピールポイント
自分の過ちを認めて謝罪をする。物心ついた頃に学ぶことだが、実際行うのはなんと勇気がいることだろう。周りからどう見られているかを気にする高校生にとってはさらにハードルが高いことだ。日本も韓国もいじめなど青少年に関するニュースは後をたたない。そして世界は分断が進んでいる。そんななか過ちを省みること、想像力を働かせることは、お互いをわかりあうひとつの手段なのではないかと本書を読んで感じた。被害者側の傷は消えないことへの目線を忘れないところもよい。また、『ザ・クラシック』のメンバーは古典小説から人間を学んだことに気づく。小説の主人公たちは弱点だらけであらゆることをしでかすが、読んでいくうちに理解し、共感できるようになると。文学はなんのためにあるのかを考えさせられる部分であった。韓国特有の文化背景の描写などもないので日本の読者も没入しやすく、何よりどんでん返しの面白さを味わえる小説である。すでに二刷が決定している。
(作成:朴哉垠)

