
教保文庫の2025年12月の月間ベスト10および注目の新刊(韓国小説)をご紹介します。昨年、『철도원 삼대(鉄道員三代)』(邦訳『マテニ10号』姜信子・趙倫子訳/白水社/2025.12)がブッカー国際賞最終候補に選ばれ話題となった黄晢暎(ファン・ソギョン)の、5年ぶりとなる新作長編小説が初登場で7位にランクインしました。注目の新刊では、季節ごとに刊行される人気短編小説集や、韓国ドラマさながらの辛口ブラックコメディを取り上げています。
1位:『절창(切創)』(10万部記念ブラックエディション)ク・ビョンモ著(文学トンネ/2025.9.17)
2位:『안녕이라 그랬어(アンニョン、と言った)』キム・エラン著(文学トンネ/2025.6.20)
3位:『혼모노(ホンモノ)』ソン・ヘナ著(チャンビ/2025.3.28)
4位:『자몽살구클럽(チャモンサルグクラブ/グレープフルーツアプリコットクラブ)』ハンロロ著(オーセンティック/2025.7.25)
5位:『모순(矛盾)』(ハードカバー)梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/20134.1)
6位:『급류(急流)』チョン・デゴン著(民音社/2022.12.22)
7位:『할매(ハルメ)』黄晢暎著(チャンビ/2025.12.12)
歴史の荒波の中でもたくましく生き残ってきたエノキの木「ハルメ(韓国語で『おばあさん』の意)」を中心に、朝鮮半島600年の歳月を描き出す壮大な叙事文学です。著者は本作について、「結局、世の万事は巡りゆくものだという悟りを込めたかった。開発事業によって消えゆく運命に置かれたエノキと、その木と共に600年を過ごした民衆の人生を描きたかった」と語っています。
8位:『소년이 온다(少年が来る)』ハン・ガン著(チャンビ/2014.5.19)邦訳版『少年が来る』(井出俊作訳/クオン)
9位:『아무도 오지 않는 곳에서』(誰も来ない場所で)』チョン・ソンラン著(ハブル/2025.10.27)
10位:『채식주의자(菜食主義者)』ハン・ガン著(チャンビ/2022.3.28)邦訳版『菜食主義者』(きむふな訳/クオン)
『소설 보다:겨울 2025(小説ポダ:冬2025)』パク・ミンギョン他著/文学と知性社/2025.12.10
文学と知性社が季節ごとに刊行している人気短編小説シリーズ。2025年冬版の本書にはパク・ミンギョンによる「別の問題」、ソ・ジャンウォンの「ヘビのいるところ」、ハ・カラムの「5月は窓辺のトラ」の3編の物語と作家のインタビューが収録されています。収録作「別の問題」では、夫が始めた宅配ピザ店にアプリで低評価をつける利用者が現れたことをきっかけに、夫婦の日常が変わり始めていく様子が描かれます。
『내 남편을 팝니다(夫、売ります)』コ・ヨハン著/ナムヨプウィジャ/2025.12.15
「夫、売ります。40歳、趣味はガーデニング、食べ物の好き嫌いなし。1億ウォンでお譲りします」。会社をクビになり、挙げ句には詐欺にまで遭った夫のマーティンに愛想を尽かし離婚を決意した妻ヘリは、偶然「夫を売り買いできる秘密クラブ」の存在を知る。慰謝料も期待できないなら、いっそ夫を売ってそのお金を山分けしようと、ヘリはマーティンを説得し、奇妙な取引に踏み出します。風刺と辛辣なユーモアが冴えわたる、ブラックコメディ小説です。
『나나 올리브에게(ナナ・オリーブへ)』ルリ作・絵/文学トンネ/2025.11.20
「オリーブの木の家」と呼ばれる場所には、大きなオリーブの木と、その名を冠した「ナナ・オリーブ」が住んでいるらしい。けれど、彼女の姿は語る人によってさまざまで、若いと言う人もいれば、おばあさんだと言う人もいる。ただ一つだけ共通していたのは、「あの家に行けば、なんとかなる」という噂だった。韓国で「子どもに読んでほしい児童書NO.1」としてベストセラーとなった『긴긴밤』(邦訳『長い長い夜』カン・バンファ訳/小学館/2022)で多くの読者に感動を与えた作家の最新作です。
