●本書の概略
人間のために犠牲になる存在—試験動物について描いた絵本。韓国では、1日に平均1万余匹の動物が動物試験に利用されているという。本書は、ビーグル犬の言葉を借りて試験動物の現実を浮き彫りにする。ビーグル犬は、さまざまな犬種の中でも特に人に懐きやすく、楽天的な性格を持っているがゆえに試験動物として採用されやすいのだ。
試験のために生まれ、名前ではなく番号で呼ばれる存在。いつかは自分も名前を呼ばれ、暖かい日差しを浴び、地面に足をつけて思い切り遊べるだろうか…。
●日本でのアピールポイント
『動物園―わたしたちはここにいます』や『63日』など、動物たちの生や自由を制限する人間の欲望に対して問題意識を投げかけてきたコ・ジョンスン作家による“動物権シリーズ”の3作目です。
当時11歳のイ・ハンビさんがTV番組で試験動物のことを知り、ショックを受けたことが本作を執筆するきっかけだったと言います。自身も犬を飼っているハンビさん。同じ犬に生まれたのに、傷つき、外を走り回ることもできない存在がいる。いつかその苦痛がなくなるようにと願いを込めた文章に胸を打たれます。難解な言葉を使わずに環境や社会の問題について気づかせてくれる絵本です。
(作成:黄理愛)

