●本書の概略
おしゃれが大好きで、安くて可愛い服を見つけては買い込んでいた著者。だがファッション業界が人や動物、自然環境を犠牲にして成り立っていることを知り新しい服を買うのをやめた。現在は服を買わずに自然保護とおしゃれの両立を実践・提唱している。
ファストファッションはものすごいスピードで流行を変化させ、服はすぐに着られなくなる。ZARAは週2回、ASOSは週4500点もの新作を投入。私たちは必要だからではなく、安さやクーポンの期限に迫られて服を買ってしまう。ブランドは昼に製品を生産し、夜には売れ残りを焼却する。動物の命を犠牲にした製品も、流行が過ぎればすぐに捨てられる。
韓国では年間30万トンのペットボトルが回収され、80%が衣類に再利用されている。最近ファストファッション業者がペットボトルの再利用を始めペットボトルの価格が高騰。毎年1000億着以上が生産され、330億着が捨てられている状況なのに、生地を変えたからと言って、服がすぐに捨てられることには変わりはない。服の生産と廃棄をつなぎ、再利用する循環型経済への転換が求められる。
新しい服を買わないことはおしゃれを諦めることではない。服は自分を表現する重要な手段であり、他者にメッセージを伝える力を持っている。自分によく合う服を選び着こなす方法はいくらでもある。
●目次
プロローグ:服という名の翼
第1章:服を買うということの意味
第2章:あなたはただの一度も冷静に服を買ったことがない
第3章:流行はどうやって作られるのか
第4章:クローゼットの中に人がいます
第5章:服を買わなければ経済が破綻する?
第6章:死にたいのではなくて服を買わないというだけなのですが
第7章:エコのように見えてエコでないもの
第8章:にもかかわらず
第9章:新しい服を買わずに新しい服を着る方法
エピローグ:私だけのおしゃれ
付録:ゴミゼロ・クローゼット実践に役立つ、おすすめコンテンツ
●日本でのアピールポイント
ファストファッションの光と闇は日本でも報道されている。発展途上国で欠陥建築の工場において安い賃金で働く若い女性達が、休む暇もなく長時間の労働を強いられ、その工場周辺の川は染料に染まり、綿を生産する農夫の健康が損なわれているという事実を知る人は多いだろう。「今までと同じように買い続けて良いのだろうか?でも服を買うのをやめたらますます着る服がなくなるのでは?」と葛藤する人に向けて『シンプルなクローゼットが地球を救う』(E.クライン著/春秋社)『サステナブル・ファッション:ありうるかもしれない未来』(水野大二郎ほか著/学芸出版社)とともにおすすめの1冊。
(作成:櫻井美穂)

