당신이 더 귀하다(あなたがもっと尊い)

原題
당신이 더 귀하다
著者
ペク・ギョン
出版日
2024年 12月17日
発行元
ダサンブックス
ISBN
9791130660882
ページ数
247頁
定価
18,000ウォン
分野
エッセイ

●本書の概略

8年間、消防署の救急隊員として生と死の分かれ目を数えきれないほど目撃し感じたことを文章にした作品であり、著者ペク・ギョンが直面した36編ものエピソードが綴られている。救急活動をはじめた当初からトラウマによる不安障害に悩まされていたという著者は「いつ死ぬかわからない。時間ができれば遺書を書いていた」という。不安障害を克服しようと文章を書き始め、それがSNSを通して大きな話題となった。著者が目撃したまぎれもない現実がありのままに書き下ろされており、悲しみや悲劇という次元を超えて、飢えや苦しみが社会全体に根付いていることを赤裸々に見せつけている。「皆が流行りの店だとかブランド品とか不動産の話で盛り上がっていても、貧しい人々が存在していることを知ってほしい」。エピソードは単純な救急隊員の事件記録ではなく、1人の人間として他人の痛みを理解しようとする努力と苦悩が共に描かれている。

●目次

プロローグ いつ死ぬか分からないから書く文章
1章 ― 私があなたの心臓を押すとき
2章 ― あなたがもっと尊い
エピローグ 蛇口のために

●日本でのアピールポイント

K-POP、お洒落なカフェ、韓国コスメ、韓国ドラマや映画など、韓流のおかげで韓国について詳しい人が増えた。しかし、本書に登場するような貧しさや飢えが韓国に存在することを知っている人はどれだけいるだろうか。貧しさや飢えは韓国だけではなくどの国にも隠れている。臭いものに蓋をするのではなく、著者は自ら痛みに向き合いながら全ての生命は尊いものだと気づかせてくれる。死に関するエピソードが多く、眉をひそめながら読まなければならない文章も多い。華やかさの裏に隠れている韓国社会の一面を見ることができる。

(作成:清水綾子)

ペク・ギョン
大学では映像を専攻し、30歳になるまで塾の講師をしながら独立映画を撮っていた。 2017年からは消防署の救急隊員として多くの救急活動に従事している。2児の父。 救急活動に長い間携わってきたのにもかかわらず、現場の悲しみや死にはいつまでたっても慣れることができない平凡な人間。トラウマによる不安障害を克服するべく文章を書き始めた。毎朝5時に起床し、救急車に乗り現場で対峙した人生と死の断片を記録している。