●本書の概略
十代になり第二性徴を迎えた少女たちには体や心の変化と共に疑問や不安も訪れる。そんな少女たちの体や心、人間関係に関する、誰に聞けばよいのか分からない、また人には聞きにくい様な悩みや疑問に寄り添ってくれる一冊である。
本書ではユネスコが発行している『国際セクシャリティ教育ガイダンス』で満12歳から15歳の少女に勧める水準の情報を基に、医学的な基礎知識や対処法、アドバイスなどをイラストと共に詳しく載せている。『お姉さんたちの秘密の相談所』と称したQ&Aやテーマに合わせたチェックリストで自身の状態を知ることができる。また身近に潜む様々な危険も注意喚起しており、危険を回避できる様な助言もされている。本書が自分らしさと自分の可能性を見出す過程で手助けになって欲しいという著者の言葉の通り、個人差のある体と心において世間で言われている基準が全て正しいのではないと、あらゆる多様性を提示している。自分自身を好きでいられる、心身ともに健康でいられる様に少女たちを守ってくれる言葉たちが随所に綴られている。
●目次
体×思春期 – 二次性徴/胸/ニキビ/毛/性器/膣分泌液/月経/月経前症候群と月経痛
体×セクシャリティ – 性自認と性的指向/葛藤/恋愛/同意/自慰/性的感情と性行為/性媒介感染/妊娠と出産/避妊/中絶
体×世間 – 性的対象化/女性嫌悪/メディアリテラシー/ポルノ/ガスライティング/性暴力/デジタル性犯罪/
●日本でのアピールポイント
韓国でも日本同様に子供への性教育について悩む保護者は多く、学校の教育だけでは不足していると感じる保護者が家庭での性教育のために本書を購入したという声も多く見られる。教える側の親が悩むように、当事者である子供達もまた悩んでいる。日本で17〜19歳の1000人を対象に行った調査では「性に関する知識が十分にあるか分からない」と4割が回答しており、授業でより深めて欲しかった内容に「恋愛や健康な性関係に関する知識」が挙げられている。この事から本書の内容は子供達が知りたいと思う内容も記載してあり、日本でも十分な性教育を行う助けとなる一冊であると考えられる。またコロナ禍に入ってからの十代の妊娠相談が急増している現状を見るに、本書のような存在は子供たちの未来を守るためにも必要であると感じられる。
(作成:小森恵里)