ラーメンの再発見(라면의 재발견)

原題
라면의 재발견 
著者
キム・ジョンヒョン、ハン・ジョンス
出版日
2021年1月15日
発行元
図書出版タビ
ISBN
9788998439866
ページ数
244ページ
定価
15,000ウォン
分野
人文

●本書の概略

日本から製造技術が輸入され、韓国で初めて売り出されてから約60年。販売当初は「貧しさの象徴」だったインスタントラーメンは、独自の発展を遂げながら今や韓国人のソウルフードと言われるまでの存在となったが、その変遷は韓国社会の動向と切っても切り離せない関係にあると著者は言う。
本書は、韓国におけるインスタントラーメンの誕生から、社会の変化に伴って進化を遂げてきたプロセス、海外での人気の秘密、さらには新たなアレンジレシピまでを一気に知ることができるインスタントラーメンの歴史書であり、ユニークな切り口から韓国現代史を振り返る一冊でもある。

●目次

はじめに
1部 ラーメンの誕生
1章 世界のあらゆる麺類、ラーメン
2章 インスタントラーメンの登場
2部 大韓民国ラーメンの始まり
3章 ラーメン、海を越える
4章 ラーメンはいかにして韓国人のソウルフードになったのか
5章 ラーメンで世界を表現する
3部 ラーメンの新たな時代
6章 ラーメンで遊ぶ
7章 ラーメン市場の新傾向
8章 世界の人と共に楽しむ
おわりに
付録1 韓国ラーメンの父、以建こと全仲潤
付録2 新しいラーメンレシピへの招待

●日本でのアピールポイント

国民1人当たりのインスタントラーメン年間消費量が世界一の韓国で、店頭に数えきれないほどの袋麺、カップ麺が並んでいるのは誰もが一度は目にしたことのある光景だろう。その人気は韓国国内にとどまらず海外にも及んでおり、日本も例外ではない。
そんな人気商品が生まれる背景に、インスタントラーメンの生みの親である安藤百福の存在があったというのは、日本の読者にとって興味深い話だ。朝鮮戦争の傷癒えぬ韓国で食糧難を克服しようと奮闘する人々に、日本の企業が破格の支援を行ったということもあわせて知っておきたい。
またインスタントラーメンは、韓国のドラマや映画、文学作品の中で孤独や苦悩、疎外感といった登場人物の心境を表現するツールとしても使用されてきた。インスタントラーメンの軌跡をたどることで、それら作品への理解をさらに深めることができるだろう。
想像以上に、社会と強いつながりを持つインスタントラーメン。熱々の麺をすすりながら、その過去・現在・未来に思いを馳せて読みたい一冊だ。

(作成:金知子)

キム・ジョンヒョン
中央大学広告広報学科教授。ソウル大学フランス語フランス文学科卒業後、アメリカのペンシルベニア大学でコミュニケーション修士号を、ソウル大学言論情報学科で文学博士号を取得した。SBS(ソウル放送)企画室や中央大学広告PR研究所長などを歴任し、現在は韓国広告広報学会会長、ソウル商標委員会副委員長、韓国広告自立審議機構審議委員などを担う。著書に『説得コミュニケーションの理解と活用』(2015年 コミュニケーションブックス)、『商標資産管理』(改訂版)(2016 コミュニケーションブックス)などがある。
ハン・ジョンス
ソウル生まれ。高麗大学中国語中国文学科卒業後、ロッテ観光、韓国土地住宅公社、世宗市都市再生支援センターで勤務した。幼い頃からあらゆる分野の歴史に関心を持ち、現場を歩き、本を読んで、意味を再考するという作業を行ってきた。 著書に『江南の誕生(共著)』(2016 ミジブックス)、『第2次世界大戦のマイナーリーグ』(2016 キルチャッキ)などがある。