こんにちは、椿の森の小さな家 (안녕, 동백숲 작은 집)

原題
안녕, 동백숲 작은 집
著者
ハオル、ペーダル
出版日
2018年11月29日
発行元
ヨルメハナ
ISBN
9791196171179
ページ数
300
定価
16,000ウォン
分野
エッセイ

●本書の概略

ソウルの環境NGOで働いていた若い夫婦が全羅南道長興郡の森の中の小さな家に移り住み、6年間を過ごした物語。

「電気の代わりに月光を、水道の代わりに泉水を、ガスの代わりにかまどを」をスローガンにして、家を自ら修理し、斧で薪を切って運び、化学肥料や農薬を使わずに稲作や畑作をして自給自足の生活をし、川で洗濯をし、自然出産で2人の子を産み育てる生活は喜びと学びの毎日だった。地球に害を及ぼさず、他人と競争することもなく、これまで経験したことがない自由と、美しい自然の中で薪が燃える香りをかぎながら愛する人と自ら作った食事をする幸せを満喫する。日が昇ると起床し、日が沈む前に夕食を食べ、日が沈むと寝床につく日々。

それまでの生活が均質で冷たいステンレススプーンなら、ここでの生活は木でスプーンを作って食事に使い、自然が凝縮された暖かい感触を楽しむ。都市での生活の習慣や癖のために森の中の生活が困難に感じる時もあったけれど、それまでに得られなかった貴重な体験を得ることができた。

EBS教育放送のドキュメンタリー「一つしかない地球」で紹介されて多くの人の注目を集めた。

●目次

1章:椿の森の1日

椿の森、四季、祝祭

2章:森は生きている

木、動物

3章:手作りの生活

木のスプーン、野生の茶、甕置き台、かまど

4章:その日以降

ベースキャンプ、オンドル部屋、因縁

5章:自給から自足に

旅行、共同体、家を建てる、自然出産

6章:変化する時間の中で

原則、贈り物

7章:愛し学ぶ時間

生命、学び、市場

●日本でのアピールポイント

大都市圏への人口集中は以前から道路渋滞や大気汚染などの様々な問題を引き起こしてきたが、新型コロナウィルスが大都市を中心に猛威を振るい、感染症という問題が加わった。地方や在宅でも仕事や生活を継続できることが明らかになり、満員電車に乗って都市に通う生活を捨てて地方に移り住む人々が増えてきており、ワーケーションという用語も登場した。ソウルから全羅南道の森の中に移り住んだ著者たちの体験は参考になる部分が多い。この6年間の体験は、私たちが忘れていたものを思い出させてくれる。

作成:名村孝

著者:ハオル(ソン・ヒョンジン)、ペーダル(バク・ジンヒョン)
帰農や帰村の「き」の字も知らないソウル出身のハオルと子供の頃山や野原を走り回って遊んだ田舎出身のペーダルが出会い、2011年に全羅南道潭陽を経て、長興にある椿の森の中の小さな家に移り住んだ。ハオルが30才、ペーダルが26才の時だった。電気も水道もガスもない環境において、悪戦苦闘しながら6年間を過ごした。