おたすけ黒猫カムニャン 1. マンションの平和を守れ!(고양이 해결사 깜냥 1.아파트의 평화를 지켜라!)

原題
고양이 해결사 깜냥1.아파트의 평화를 지켜라!
著者
ホン・ミンジョン、キム・ジェヒ
出版日
2020年3月27日
発行元
チャンビ
ISBN
9788936447694
ページ数
80
定価
11,000ウォン
分野
児童書

●本書の概略

第24回チャンビ「良い子どもの本」原稿公募童話部門で大賞を受賞した作品。主人公は、さすらいの黒猫カムニャン。名前の「カム」は韓国語で「黒」だから「黒ニャン」だ。さらに単語「カムニャン」には「自分で何かをなしとげる力」という意味がある。二本足で立ち歩き、人とも犬とも話せる。猫なのに意外と力持ちでダンスも上手だ。すました顔をしているが、よく気が利くし礼儀正しい。そして何よりも心優しい。そんな黒猫カムニャンがマンションで起こる様々な問題を、機転を利かせて解決していく。

本書はシリーズ化を前提に第1巻として発刊された。キム・ジェヒが描く絵も楽しい。巻末の絵は次巻が楽しみになる仕掛けになっている。この本を手にした子どもたちは、カムニャンにまた会いたいと思うことだろう。自分で読むなら小学校低学年から。幼児への読み聞かせにもいい。

●目次

おじゃまします

お母さんが帰って来るまで

猫といっしょにダンスを

宅配が来ました

猫の警備員カムニャンです

●日本でのアピールポイント

何といっても魅力的なのは、カムニャンの愛すべきキャラクターだ。ちょっと生意気なのに、静かにゴロリと困っている人に寄り添う。猫だから本当は寝ていたいのに、子どもたちと思い切り遊んでしまう。読み終わるとなんだか温かで前向きな気持ちになれる。小学生以上向けの童話だが、ほのぼのと楽しいストーリーは大人でも楽しめる。

日本でこれまで出版された韓国童話には見られない、現代のマンションが舞台となっている点が新しい。登場する子どもたちが置かれている状況も、韓国の今どきの世相を反映している。

そんな子どもたちとカムニャンとの温かな交流は、人と人とのかかわりが希薄になっていると言われる今、日本の子どもたちの共感を得るに違いない。巻末の「カムニャンのことば」の中には、人生(猫生)を前向きに生きようとするカムニャン(作者)のメッセージが込められている。

作成: 村山 哲也

著者:ホン・ミンジョン
中央大学・文芸創作学科を卒業後、記者、放送作家、学習誌編集者などを経て童話作家に。「MBC創作童話大賞」「青い文学賞」を受賞。これまで『言いたいほうだい』『ジャンゴをお願い』『チョンイがくれた幸せ(短編童話集)』『パパはみどりのおじさん』『心配ランドリー』などを出している(いずれも未邦訳)。
絵:キム・ジェヒ
成均館大学・衣装学科を卒業し、韓国イラストレーション学校(HILLS)でイラストレーションを学ぶ。絵本『おじさんが来た』(文・絵とも)の他、『1000ウォンなんてあんまりだ』『小学生イノグ』『将来の夢はなに』『伝説のメンコ』(いずれも未邦訳)をはじめ多くの児童書・絵本の絵を描いている。