●本書の概略
フォロワー15万人が待ちわびた4年ぶりの新作イラストエッセイ!
「今いちばん必要なのは、わたしがわたしを待ってあげることなのかも」
愛らしいイラストと温もりに満ちた文章で絶大な支持を受けるオリヨインの新作エッセイ『わたしに時間をあげることにした』が前作から4年ぶりに刊行された。
平凡だけどかけがえのない思いが著者ならではの洞察力で綴られた作品はどれも、「これは自分の話だ」「どうして私のこと知ってるの?」という読者からのコメントであふれている。その中でも選りすぐりの作品を集めて書籍化した待望の新作。
●目次
1部:急がないことにした
2部:一緒に生きているんだから
3部:完ぺきじゃない日々が積み重なって
4部:心がふわりと満ちてくる
エピローグ
●日本でのアピールポイント
なにが人生の遅い、速いっていう基準になるのだろう。そもそも、そういう基準ってはじめからあったものなんだろうか。不安で、ためらいがちで、ゆっくりだとしても、完全に立ち止まりさえしなければ大丈夫だし、時には自分を待ってあげることも必要なのではないか。
自分の速度と歩幅で歩く生き方の大切さがそっと綴られた本書には、前作を発表してから4年のあいだに著者が経験したライバルへの嫉妬心、著作権問題による休筆宣言、全SNS削除などの出来事が大きな影響を与えている。オリヨインとして5年で4冊の本を出すなど、休むことなく走り続けてきた彼女が急に立ち止まったのは、自分と他者を習慣のように比較している姿に気づいたからだという。だが立ち止まったからこそ、オリヨインの新たな歩みがはじまったのではないだろうか。
本作には時間にまつわる話がたくさん登場する。ぴくりともしなかった種がいつの間にか芽吹く姿にしみじみする。そして、「時間をあげる。それぞれに必要な時間を十分に持つ。植物にも、わたしたちにも必要なこと」だと著者は言う。特別だったり、劇的な紆余曲折はないけれど、だからこそわたしたちはオリヨインがためらったり、進もうかやめようか迷えばともに悩み、オリヨインが立ち直れば勇気をもらうのではないだろうか。
つらい一日を経験したとき、自分を抱きしめてあげたいとき、ぜひ本書を開いてほしい。他人に惑わされることなく、自分の歩幅で歩いていきたいと願う人びとにおすすめしたい一冊だ。
作成:古川綾子