2022年3月、児童文学界のノーベル賞と呼ばれている「アンデルセン賞」を韓国の絵本作家、イ・スジ(スージー・リー)さんが受賞されました。2020年には「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」をペク・ヒナさんが受賞するなど、韓国の絵本作家たちはここ数年世界的に高い評価を受けており、日本での韓国の絵本の翻訳出版が続いていますので、ぜひご注目ください。
『かたつむり』も新しい韓国の絵本作家、キム・ミヌさんの作品です。
今回翻訳を担当されたわたなべなおこさんから、この作品を紹介していただきました。
お兄ちゃんたちの自転車のスピードについていけず、石に躓いて土手を転がり落ちてしまった男の子。うまくできない自分が情けなくて、何もかも嫌になってしまう。そんなときに、男の子はゆっくりと木をのぼっていくかたつむりに導かれ、はっとするような光景を目にします。焦る気持ちも、嫌な気持ちも、ふっと軽くしてくれる広い空。そのとき、そこにしかない、きらっと光る一瞬を見事に描き出した絵本です。
作者のキム・ミヌさんは2021年にこの作品で絵本作家としてデビューし、その後つづけて『ぼくのあかいつばさ』、『しろい凧』(どちらも未邦訳)という絵本を発表しています。細い線で描かれた繊細な絵が、韓国の最近の絵本の中ではちょっと珍しいように思います。今後も注目される作家さんです。
『かたつむり』(作:キム・ミヌ、訳:わたなべなおこ、あすなろ書房)