『トゲトゲくんは ね、』( 作: クォン・ジャギョン、 絵: ハワン、訳: いくたみほ、パイインターナショナル)

「怒り」の感情について教えてくれる絵本『トゲトゲくんは ね、』( 作: クォン・ジャギョン、 絵: ハワン、訳: いくたみほ、パイインターナショナル)。本当はにっこり笑顔でいたいのに、自分のことを守るために「怒り」のトゲをどんどん大きくしていくトゲトゲくん。ついにはひとりぼっちになってしまいます。どうしたらみんなと仲良くなれるのか。トゲトゲくんの絵に目が引かれますが、描いたのはハワンさん。日韓でベストセラーとなっている『あやうく一生懸命生きるところだった』や『今日も言い訳しながら生きてます』(ともに岡崎暢子訳、ダイヤモンド社)の著者でもあります。日本アンガーマネジメント協会の安藤俊介さんによる解説も充実しています。訳者のいくたみほさんからメッセージをちょうだいしました。

この絵本は、エッセイ『あやうく一生懸命生きるところだった』で一躍有名になったハワンさんの絵本デビュー作で、もとは2012年に描かれたものです(ハワンさんの本業はイラストレーターで、これまでに十数冊の絵本にかかわっています)。しばらく絶版になっていましたが、昨年復刊となり、それが日本でも翻訳出版されることになりました。
主人公のトゲトゲくんは、その名のとおり、何かあるとすぐにトゲのあることばを吐いてしまい、それがまわりの人たちを傷つけることも十分に理解しています。でも、ふつふつとわき起こる怒りを抑えることができず、そんな自分を自分でも持て余しています。本当はみんなと仲良くしたいのに……。タイトルの「トゲトゲくんは」と「ね」の間のスペース、そのあとの「、」にも、トゲトゲくんの言葉にできない思いがつまっています。
大人だって子どもだって、だれにでもトゲはある! 子ども向けの絵本ですが、大人にこそ必要なお話かもしれません。どうぞ、みんなで読んでください。(いくたみほ)

『トゲトゲくんは ね、』( 作: クォン・ジャギョン、 絵: ハ・ワン、訳: いくたみほ、パイインターナショナル)